経済・ビジネス

「荏原製作所」「昭和電線(現・SWCC)」がやり遂げた「人的資本経営」の成功例

2026年5月28日


<span>「荏原製作所」「昭和電線(現・SWCC)」がやり遂げた「人的資本経営」の成功例</span>

 日本のビジネス業界では、周りが言い出したから、という理由で、特定の言葉が「流行る」現象がよく起こる。2023年3月期から上場企業が公表する有価証券報告書に「人的資本情報」を開示することが義務付けられたことで、最近、よく聞かれるようになった「人的資本」もその一つに数えられよう。しかし、しっかりと定義されていない言葉であり、専門家によって様々な視点があるため、「人的資本経営」とは何なのか、混乱している向きも多いのではないか。以下、一橋大学大学院経営管理研究科の円谷(つむらや)昭一教授が「人的資本経営」の現実的な課題について解説する。

事業変革を阻む「心理の粘着性」

「私が思う『人的資本』とは、あくまでも人材の再配置にかかわる、事業経営に直接結びついた、現実的な問題です。とりわけ、不採算事業の人員を縮小させて、成長している事業へといかに人材を異動させるか、ということが重要になってきます」(円谷教授)

 株式市場からの圧力が強い欧米とは異なり、日本企業では、収益の足を引っ張っている不採算事業が温存されやすい傾向があった。

「特に日本では、収益に貢献していない従業員であっても、変わらず雇用し続ける『懐の深い』経営者が称賛される風潮も根強く残っています。しかし環境の変化が激しいこの時代、事業ポートフォリオの組み替えが遅々として進まないことは、日本企業が生き残るための最大の課題であると思うのです。ましてや、2025年の日本の出生数は70万人を下回っています。今後、人手不足が急速に深刻になっていくことは明らかです。企業にとって、人材の再配置は喫緊の課題となっているのです。『女性管理職比率』の向上などの表面的な問題だけではなく、いかに人材を再配置させるか、という現実的な課題に取り組んでこそ、『人的資本経営』と言えると思います」

 そう指摘する円谷教授は20年から、金融庁が運営するコーポレートガバナンス・コードの策定・改訂を議論するための「フォローアップ会議」のメンバーになっている。コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業が企業統治(コーポレートガバナンス)をするにあたっての原則や指針のことである。

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