第二十五回「新潮ドキュメント賞」候補作品は以下の5作品に決定しました。
◆候補作品(刊行順)
『過疎ビジネス』 (集英社)
〇横山勲(よこやま つとむ)
一九八八年、青森県生まれ。河北新報記者。取材執筆に携わった連載「原発漂流」を含む特集「東日本大震災10年」で新聞協会賞受賞。自ら中心となって取材執筆した「『企業版ふるさと納税』の寄付金還流疑惑に関する一連の報道」で新聞労連ジャーナリズム大賞、調査報道大賞優秀賞を受賞。同連載を元にした本作で菊池寛賞を受賞。
『戦場で笑う 砲声響くウクライナで兵士は寿司をほおばり、老婆たちは談笑する』 (朝日新聞出版)
〇横田徹(よこた とおる)
一九七一年、茨城県生まれ。九七年のカンボジア内戦をきっかけにフリーランスの報道カメラマンとして活動、世界各地の紛争地を取材。九・一一同時多発テロ直前にはアフガニスタンでタリバンに、その後米軍に従軍するなど最前線での取材を重視。二〇二二年五月以降、ウクライナ戦争の取材は九回を数える。著書に『戦場中毒』など。
『償い 綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って』 (文藝春秋)
〇山﨑裕侍(やまざき ゆうじ)
一九七一年、北海道生まれ。九四年日本大学文理学部を卒業後、制作会社入社。テレビ朝日系『ニュースステーション』『報道ステーション』ディレクターを経て、現在は北海道放送(HBC)報道部デスク。日本民間放送連盟賞・ギャラクシー賞・文化庁芸術祭優秀賞・文化庁芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。
『鶏まみれ』 (亜紀書房)
〇繁延あづさ(しげのぶ あづさ)
兵庫県生まれ。写真家。桑沢デザイン研究所卒。雑誌や広告撮影のかたわらライフワークの出産撮影に取り組む。二〇一一年に長崎県に移住。二一年より夫と養鶏業を営み、卵を販売。現在は鶏肉販売に向け準備中。『うまれるものがたり』『山と獣と肉と皮』『ニワトリと卵と、息子の思春期』など著書多数。「助産雑誌」表紙&巻頭連載エッセイ担当中。
『高畑勲と「火垂るの墓」 「幻の脚本」と「7冊の構想ノート」を読み解く』 (新潮社)
〇寺越陽子(てらこし ようこ)
一九八〇年、石川県生まれ。日本大学芸術学部卒業後、フリーランスを経て東北新社入社。二〇一八年にNHKに入局。二五年、ETV特集「火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート」を制作。主な作品に「高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~」「ネコメンタリー」シリーズなどがある。本書が初の著書。
◆受賞作発表
2026年 8月28日(金) 午後2時 発表予定
発表媒体:新潮社ホームページ、「新潮QUE」、「週刊新潮」九月十七日発売号誌上
◆第25回 選考委員
稲泉連(いないずみ・れん)
1979(昭和54)年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部を卒業。2005年、『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』で第36回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。25年、『パラリンピックと日本人 アナザー1964』で第35回ミズノ スポーツライター賞の最優秀賞を受賞。他の著書に『仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」』『命をつないだ道 東北・国道45号線をゆく』『増補 復興の書店』『ドキュメント 豪雨災害 そのとき人は何を見るか』『豊田章男が愛したテストドライバー』『「本をつくる」という仕事』『日本人宇宙飛行士』『廃炉 「敗北の現場」で働く誇り』『サーカスの子』などがある。
東畑開人(とうはた・かいと)
1983(昭和58)年、東京都生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。専門は臨床心理学・精神分析・医療人類学。臨床心理士・公認心理師。精神科クリニック勤務、十文字学園女子大学准教授を経て、白金高輪カウンセリングルーム主宰。2019年の『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』で第19回大佛次郎論壇賞、第10回紀伊國屋じんぶん大賞受賞。26年、『カウンセリングとは何か 変化するということ』で第19回新書大賞受賞。他の著書に『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』『心はどこへ消えた?』『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』『ふつうの相談』『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』『聞く技術 聞いてもらう技術』『ミドル・エイジ・ビギンズ』などがある。
西川美和(にしかわ・みわ)
1974(昭和49)年、広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2002年に『蛇イチゴ』でオリジナル脚本・監督デビュー後、『ゆれる』(06年)、『ディア・ドクター』(09年)、『夢売るふたり』(12年)を発表。15年に小説『永い言い訳』(第28回山本周五郎賞候補・第153回直木賞候補・2016年本屋大賞第4位)を上梓後、16年に同名映画を発表。21年、佐木隆三の小説『身分帳』を原案とした『すばらしき世界』が第56回シカゴ国際映画祭外国語映画部門観客賞、第76回毎日映画コンクール日本映画優秀賞などを受賞。小説作品に、『ゆれる』(第20回三島由紀夫賞候補)、『きのうの神さま』(第141回直木賞候補)、『その日東京駅五時二十五分発』、エッセイに『映画にまつわるxについて』などがある。26年10月16日より、終戦直後の東京を舞台に、戦争孤児を描いた新作映画『わたしの知らない子どもたち』が公開予定。
早見和真(はやみ・かずまさ)
1977(昭和52)年、神奈川県生まれ。2008年『ひゃくはち』で作家デビュー。15年『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。20年『ザ・ロイヤルファミリー』で2019年度JRA賞馬事文化賞と第33回山本周五郎賞を受賞。同年『店長がバカすぎて』で、25年には『アルプス席の母』で本屋大賞ノミネート。その他の著書に『ぼくたちの家族』『小説王』『笑うマトリョーシカ』『八月の母』『問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』「かなしきデブ猫ちゃん」シリーズ(絵本作家かのうかりん氏との共著)など、ノンフィクション作品に『あの夏の正解』『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』がある。26年9月に『春までのセンセイ』を刊行予定。
ブレイディみかこ(ぶれいでぃ・みかこ)
1965(昭和40)年、福岡市生まれ。96年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、ブライトンの託児所や保育所で働きながらライター活動を開始。2017年『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で第16回新潮ドキュメント賞を、19年『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でYahoo!ニュース|本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞、第73回毎日出版文化賞特別賞を受賞。他の著書に『花の命はノー・フューチャー』『ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート』『女たちのテロル』『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』『両手にトカレフ』『リスペクト R・E・S・P・E・C・T』『それはどこでも起こり得る 壊れゆく世界への抵抗』など。
◆第25回 賞規定
【記念品及び副賞百万円】
本賞は下記の規定により、人間や社会への洞察に満ち、表現において文学的にも良質と認められる作品一篇に授与する。
一、選考の対象は、ノンフィクション作品(雑誌掲載も含む)とする。
一、第25回は、令和7年7月1日から令和8年6月30日までを対象期間とする。
一、選考委員/稲泉連 東畑開人 西川美和 早見和真 ブレイディみかこ(五十音順)
一、選考委員の任期は4年とする。ただし重任は妨げない。
一般社団法人 新潮文芸振興会