経済・ビジネス

「安川電機」「三井化学」「味の素」……「人的資本経営」から見極める優良企業

2026年5月29日

 ここ数年、ビジネス業界でよく聞かれるようになった言葉の一つに「人的資本」がある。企業で働く従業員を、「コスト」ではなく、企業価値を向上させるための「資本」と捉える考え方だ。2023年3月期からは、上場企業が公表する有価証券報告書に「人的資本情報」を開示することが義務付けられている。では、人的資本を重視した経営とはいかなるものなのか。『5000の事例から導き出した日本企業最後の伸びしろ 人的資本経営大全』(東洋経済新報社)の著者でUnipos株式会社代表取締役会長の田中弦氏に、具体例をもとに解説してもらった。

深刻なレベルでの生産年齢の減少

「『人的資本経営』といっても企業ごとに様々な取り組みがありますが、そのポイントは個人が持っているスキルやノウハウを戦略的に活かしそれを束ねる、ということ。これは『みんなの力が必要だ』という考え方に基づくものであり、『俺についてこい』という昭和的な姿勢とは対極にある考え方です」(田中氏)

 例えば、人口が増えて内需も拡大していた高度経済成長期においては、安い人件費で大量に製品を生産すれば、その分だけ企業は成長することができた。

「その時代には、上司や先輩と同じことをやっていればオーケー、前例主義的に先輩の言うことに黙って従う、という企業風土もビジネス上、とても有利に働きました。しかし今の時代は、全てにおいてそれとは真逆のことが起こっています。日本の生産年齢人口は減り続けているし、内需も縮小を続けている。なのに、世界的に見ると日本の人件費は高い水準を維持していて、国内の製品は人件費を安くすませて大量生産する中国のメーカーにシェアを奪われています。昔と違って、現在は不安定で、変化の激しい時代と言えるのです」(同)

 日本の眼前に迫る、深刻なレベルでの生産年齢人口の減少。これも、人的資本経営が重要になってくる社会的背景の一つである。……

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