深刻なレベルでの生産年齢の減少
「『人的資本経営』といっても企業ごとに様々な取り組みがありますが、そのポイントは個人が持っているスキルやノウハウを戦略的に活かしそれを束ねる、ということ。これは『みんなの力が必要だ』という考え方に基づくものであり、『俺についてこい』という昭和的な姿勢とは対極にある考え方です」(田中氏)
例えば、人口が増えて内需も拡大していた高度経済成長期においては、安い人件費で大量に製品を生産すれば、その分だけ企業は成長することができた。
「その時代には、上司や先輩と同じことをやっていればオーケー、前例主義的に先輩の言うことに黙って従う、という企業風土もビジネス上、とても有利に働きました。しかし今の時代は、全てにおいてそれとは真逆のことが起こっています。日本の生産年齢人口は減り続けているし、内需も縮小を続けている。なのに、世界的に見ると日本の人件費は高い水準を維持していて、国内の製品は人件費を安くすませて大量生産する中国のメーカーにシェアを奪われています。昔と違って、現在は不安定で、変化の激しい時代と言えるのです」(同)
日本の眼前に迫る、深刻なレベルでの生産年齢人口の減少。これも、人的資本経営が重要になってくる社会的背景の一つである。……