全国最多の救急患者受入数を誇る湘南鎌倉総合病院
湘南鎌倉総合病院は徳洲会グループに属し、市民病院がなかった鎌倉市民の要望に応じて38年前に開院した。現在は標榜診療科44、医師数381人、669床を持ち、救急のみならずがん診療連携拠点病院でもあり、移植医療など高度な先端的医療施設でもある。
同院は2025年度、救急車による搬送18500人、ウォークイン(徒歩来院)約3万人=計約5万の救急患者を受け入れた。これがどれほどすさまじい数字であるか。「救急車による搬送」でみると、全国で年間1万人以上の救急患者を受け入れている医療機関は23のみ。東京都に限れば、聖路加国際病院(11472人)、武蔵野赤十字病院(10361人)、杏林大学医学部付属病院(10780人)、国立国際医療研究センター(10802人)の4病院のみである(カッコ内は各病院の受け入れ人数/厚生労働省が発表する「令和7年救命救急センターの評価結果」より)。
筆者は2019年に救急医療の危機的状況を記した『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)を出版したが、当時は救急車による搬送が年間1万人を超える病院が全国で10に満たなかった。その頃と比べれば救急患者の受け入れ数はどの地域も多くなっていて、各病院が努力している様子がうかがえる。これまでさまざまなERを取材し、年間1万人の救急患者を受け入れるには何かしら体制の工夫が必要であると感じているからだ。
だが湘南鎌倉総合病院は、さらに上をいく体制だ。年度によっては救急車を2万件以上、ウォークインを含めると5万人を超える救急患者を受け入れているという事実は驚異的でしかない。
スーパー医師がいるわけではないのに、なぜ湘南鎌倉総合病院は膨大な救急患者の受け入れが可能なのか。取材から、病院の受け入れ体制に秘密があることが見えてきた。
膨大な救急患者を受け入れられる理由
大きく次の3点にしぼられる、と筆者は考える。