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実現間近「ミラーライフ」は人類へのリスクか福音か 「鏡の国のエイリアン」を考える

2026年6月20日


<span>実現間近「ミラーライフ」は人類へのリスクか福音か 「鏡の国のエイリアン」を考える </span>
Mohammad reza Razmpour

 私たちの身体を作るアミノ酸は、なぜか「左手型」ばかり——。化学的には鏡像関係にある右手型と左手型が同じだけ生じるはずなのに、地球上のあらゆる生命は片側に極端に偏っている。もし「もう半分」の細胞や生命を人工的に作り出せたら、一体何が起こるのか。2024年12月に30名超の科学者たちが『サイエンス』誌に発表した警告論文を入り口に、「鏡の国から来たエイリアン」=ミラーライフが人類に突きつける問いを考える。

 化学の分野には、「立体異性体」というものがあります。分子式(原子の構成)は同じでも、原子の立体的な配置が異なるのです。そのなかでも、互いに鏡に映したような関係にあるものを「鏡像異性体」と言います。 

 鏡に映したような関係の典型例とされるのが、右手と左手です。そのため、「鏡映関係にある相棒を持つ」という性質のことを、ギリシャ語の「手」(Χειρ)に由来する専門用語で「キラリティー」と言います。右手に相当するものを、ラテン語の右(Dexter)から「D体」、左手に相当するものを、ラテン語の左(Laevus)から「L体」と言います(ここではD体/L体の正確な定義には立ち入りません)。  

 さて、面白いのはここからです。実験室で人工的にキラルな分子を作れば、基本的にはD体とL体が同じだけ生じます。まあ、そうでしょうね。原子分子レベルの物理法則は左右を区別しませんから。ところが驚くべきことに、私たちの身体を作っているアミノ酸はなぜかL体ばかり、糖はD体ばかり、その他キラルな分子はみな、どちらか一方だけなのです。自然は対称的なのに、知られている限りあらゆる生命は、キラリティーが極端に偏っている! 

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