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「匿名」「流動性」が特徴のトクリュウで広がる「マルチ商法」的人集め

2026年6月30日


<span>「匿名」「流動性」が特徴のトクリュウで広がる「マルチ商法」的人集め</span>
「闇バイト募集」の代わりとなる手法とは

16歳の少年4人が実行犯として逮捕され、そのまとめ役の夫婦、さらにはその指示役にまで捜査の手が及んでいる栃木県上三川町の強盗殺人事件。「トクリュウ」(匿名・流動型犯罪グループ)の絡む犯罪として全容解明が急がれているが、今そのトクリュウの実態も移ろいつつあるという。事情に詳しい、元警察庁サイバー警察局サイバー捜査課長の棚瀬誠氏が明かす。

「匿名化作業」をできていなかった?

「サイバー犯罪」と呼ばれるものはひと昔前まで、技術を持った者がウイルスを作ったり、不正アクセスしたりするなどのピュアな意味でのサイバー犯罪が多かったのですが、インターネットが発達し、今では犯罪にSNSを悪用した時点で「サイバー犯罪」と定義されるようになりました。黒電話、携帯電話、スマートフォンと通信機器が進化し、今やスマホのアプリケーションやSNSを使用しているものであれば「ネットを使った高度な犯罪」になりうるわけで、こうした犯罪がサイバー捜査の対象になります。

 サイバー捜査においては、どうしたらSNSのアカウントフォルダー(所有者)を特定できるか、SNS上での闇バイトの募集にいかに潜り込むか、といった取り組みが日々続いています。

 今回の栃木の事件で最初に逮捕された16歳の少年は神奈川県在住であると報じられました。日常において、栃木という土地勘もない場所に、16歳の高校生が向かう用事はありませんが、事件そのものは誰かが下見をしている印象があります。その後、残りの16歳の少年3人が芋づる式に逮捕され、竹前海斗(28)、美結(25)の容疑者夫婦も捕まりましたが、いずれも神奈川に足場のある人物でした。

 これだけ早期に、しかも次々と逮捕されたということは、サイバー捜査において実行役の少年たちと“現場監督”である海斗容疑者がやりとりしていたアプリをトレースしたところ、すぐに本人特定が出来た、という可能性があります。つまり、容疑者らは、いわば“飛ばしのスマホ“や“飛ばしのSNS”の使用といったいわゆる「匿名化作業」をしていなかったのではないか、とみています。

 とすると、役割分担としては全員が「実行役」で、しかも全員が現場に土地勘がなく、誰かに情報を提供されていたとみることができます。つまり、奥に首謀者がいるということです。容疑者夫婦が芋づる式に捕まった段階で、まさにトクリュウ事件の“典型例”だと感じました。

「これまでのトクリュウ事件と違う」という論調への疑問

「トクリュウ」の定義とは、「首謀者は匿名化をしていて、実行役は流動的に離合集散し、個別の事件ごとに犯罪グループが形成されていく」というもの。A事件とB事件で捕まる実行役は違っていても、コアになる首謀者は同一。ただし、首謀者は匿名化しているために、ナンバー1、ナンバー2ぐらいのメンバーまでしか互いに身元が分からない。ナンバー3以下のメンバーは、中心に誰がいるのかさえ把握できておらず、「あのSNSアカウントの人」ぐらいにしか理解していない。首謀者の身元は分かっていないわけです。

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