政府は7月28日の犯罪対策閣僚会議で、ストーカー加害者へのGPS装着の検討を含む緊急対策をまとめた。これに先立ち5月には、自民党の「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」が、高市早苗首相に緊急提言を手渡していた。全国紙デスクが言う。
「今年3月に東京・池袋のサンシャインシティで、女性が元交際相手の男に刺殺される事件がありました。この男は昨年12月にストーカー規制法違反容疑で逮捕され、翌月に略式起訴されたのち釈放。同法に基づく禁止命令も受けていました。にもかかわらず事件は起きてしまった。こうした経緯を踏まえて緊急提言がなされたのです。提言では、この男が警察から医療機関への受診を勧められながら拒否していたことにも言及。GPS活用とともに、加害者に治療・カウンセリングの受診を義務付けるべきだと呼びかけています」
警察庁の統計によれば昨年、ストーカー規制法に基づく禁止命令は3037件と、過去最多を記録している。すでに海外では、GPSがストーカー対策に用いられており、
「その好例が韓国です。性犯罪やストーカー行為などで有罪判決を受け、再犯のおそれが高いと判断された人物には、GPS付きの電子足輪の装着が義務付けられている。ストーカーの被害者に接近すると位置情報がアプリで確認できるシステムで、現在は約5000人に装着されているといいます」(同)
08年のGPS導入後、韓国では性犯罪の再犯率は約9分の1にまで減少したという(ストーカーへの適用は23年から)。
「日本では23年、カルロス・ゴーン被告のレバノン逃亡をきっかけに、保釈中で海外逃亡するおそれのある刑事被告人にGPS装着を認める刑事訴訟法の改正がなされました。これとは別に、性犯罪者にGPS装着を求める議論もありますが、〝人権侵害〟との批判もあって実現には至っていません。今回のGPS案の具体化は先々の議論によりますが、当面は対象者が外出時に端末を携行することを義務付ける形も想定されています」(同)
一般的に、不特定多数が被害者となり得る性犯罪とは異なり、ストーカー行為では明確に対象が特定されている。ストーカー被害者の支援を行なうNPO法人「ステップ」の栗原加代美理事長が言う。
「毎年1、2件は必ず国内でストーカーによる殺人事件が起きており、GPSの装着は非常に有効だと思います。ですが、やはり身体と一体化させないと意味がありません。加害者の外出時に端末を持たせるという運用では、実質的に任意になってしまう。仮に不所持に対して罰金を科したところで、犯罪に突き進む人にとっては意味をなしません」
昨年のストーカー相談件数は約2万2000件で、前年比でおよそ17%増となっている。
「そのうち8割くらいの人は警察からの警告で行為をやめるといいますが、あとの2割、つまり4000人ほどは改善されない。かと言って、その全員にGPSを装着するわけにもいかないので、対象者を絞らねばなりません。実際には、相談回数が多い被害者の事案などが優先されるのではないでしょうか」(同)