中学受験をスムーズに進めるには4年生の夏が分岐点
中学受験のカリキュラムは、どの教科も学年ごとに学ぶべきステップがあり、押さえておきたいポイントがあります。例えば、4年生の算数で一番重要なのは、計算力を盤石にすることです。まず、そもそもの話になりますが、中学受験に挑戦するのなら、大手進学塾の受験コースが始まる3年生の2月の段階で、カッコつきの四則混合計算まではできていないと厳しいでしょう。なぜなら、12月や1月の入塾テストの出題範囲に含まれているからです。そして塾のカリキュラムは、これらはできていて当然という前提で授業が進んでいきます。
4年生で最初につまずくのが、小数の割り算です。多くの子どもは、小数第2位、第3位まである数で割る計算に対して、苦手意識を持ちやすい。最初に、割れる数は「だいたいいくつか?」を見立てるのが難しいからです。この見立てができるよう、AはBの何倍くらいという数の感覚を身につけておきたい。こうした数の感覚を身につけていない状態で夏休みに入ると、その先で学習する異分母数の足し算・引き算、分数同士のかけ算・わり算などでもつまずくことになります。
4年生の今の時期に成績に差が出てしまうのは、間違いなく計算力の差です。そういうと、多くの親はとにかくたくさんの計算問題を解かせようとします。計算力を高めるのに、計算練習が不可欠なのは間違いありません。しかし、ただ量を増やせばいいというものではないのです。きちんと工夫しながら計算しているかどうか、中身を見ていく必要があります。
例えば、25×24という計算を解くとします。多くの子は、まず筆算を始めるでしょう。でも、「できる」子は「25を4倍すると100になる」ことに気付きます。そして、「24は4×6だから、それを6倍にして600」と、一瞬で解く。これを覚え込ませる塾も多いのですが、それでは125×8=1000に気付くようにはなってくれないのです。そして、「覚える算数」に偏った学習をしていても、4年生のときは努力によって良い成績をとることができますが、いずれどこかで壁にぶつかります。
本当に「できる」ようになる子は、スーパーの買い物や料理の手伝い、車や電車での移動など日常生活における自身の経験から、自然と数の感覚が身についています。だから、数字と数字が並んだ計算問題を見ただけで、「おおよそこのくらいの数になるだろう」とイメージすることができるのです。この感覚が育っていると、小数の計算問題でもまずどの数字を商に立てればよいか瞬時に判断できるし、一見複雑そうに見える計算問題にも怯むことなく、「どう工夫をすればもっと簡単に答えが出せるかな」という視点で解くようになります。
4年生の注意点は、「繰り返し解けば点数が上がる」といった間違った成功体験を積ませないことです。4年生の算数は、量をこなせば誰でも点数が上がります。しかし、そのやり方では本当の力はつきません。大切なのは、自分自身の身体を通して、納得感を得ながら学ぶこと。わが子を算数嫌いにさせたくなければ、この夏、たっぷり数や量を体感できる遊びやお手伝いをさせてください。受験勉強が本格化する前の今の時期に、この感覚を身につけておくことが非常に重要です。