大国の横暴による国際秩序の流動化
まだ世界大戦こそ起きていないが、国際社会の混乱が収まる気配はない。言うまでもないが、大きな問題は国際秩序を支えるべき大国が露骨にルールを破り、自分勝手な実力行使に及んでいることだ。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が始めたウクライナとの戦争は、開始から4年5ヵ月が経ってもまだ続いている。欧州、なかでも北欧や東欧の国々はロシアの脅威をひしひしと感じている状況だ。他方、米国のトランプ第2次政権は、国際ルールを無視した関税の引き上げに続いてベネズエラに侵攻し、イスラエルとともにイランを攻撃した。イランとの戦争がなかなか終結しない一方、イスラエルはイランの支援を受けるイスラム組織の根拠地を叩くと称してガザやレバノンへの攻撃を続けている。そしてもう一つの大国、中国は、台湾の海域を含む南シナ海や東シナ海、さらには西太平洋での軍事行動や準軍事行動の漸次的拡大に余念がない。大国の横暴な振る舞いにより、国際秩序が加速的に流動化していることは否定できない。
この光景を眼前にして、多くの国が現実的な対応を迫られている。欧州ではフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。アジアでは、韓国が原子力潜水艦の導入に前向きになり、日本は防衛費を増額したほか、国家安全保障戦略などいわゆる安保三文書を改定しようとしている。あまり語られていないのは、最近ではグローバルサウスと呼ばれることの多い、新興国や途上国の対応だ。世界の行方を長期的に展望すれば、間違いなくグローバルサウスの国々の動向が重要なカギを握ることになる。特に、インド太平洋地域との連携を一層強化しようとしている日本にとっては、東南アジアおよび南アジアの国々に注目することが肝要だ。