<span>免許証のない日々</span>

 私が車の運転をリタイアしたのは、六十五歳の頃だった。

 そのときの精神的トラウマについては、この欄でも何度か書いたことがある。

 免許を返納した時は、男であることをやめたような気がしたものだ。

 人間をやめたのではない。男性の機能を失したような実感があったのである。

 人はたぶん、おおげさな事を、と苦笑するにちがいない。しかし、なかには無言でうなずいてくれるドライバーもいるような気がしていた。

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