医療・ウェルネス

なぜ北海道の地域病院が“働きたい病院”第1位なのか――「手稲渓仁会病院」が全国の医師から支持を受ける理由

2026年8月29日


<span>なぜ北海道の地域病院が“働きたい病院”第1位なのか――「手稲渓仁会病院」が全国の医師から支持を受ける理由</span>
写真提供:手稲渓仁会病院

時間外労働の上限規制やハラスメント防止措置の義務化など、医療現場においても働く環境の整備が進んでいるが、慢性的な人手不足を背景に、医師の労働環境はいまだに多くの課題を抱えている。そんな中、医療従事者向けの日本最大級の情報サイトm3.comが発表する「医師が選ぶ『働きたい病院』TOP200」2025年版で、北海道札幌市の手稲渓仁会病院が1位に輝いた。同院が「働きたい病院」として医師の支持を集める理由は、どんなところにあるのだろうか。同院院長の古田康氏に、人材育成策の特色や具体的な取り組みについて聞いた。

「先見・先取・先進」と「卒後教育の充実」

 「文化は戦略に勝る」とはピーター・ドラッカーが言ったとされる経営学の常套句だが、近年、Googleが心理的安全性最優先の組織を目指すと宣言し、Microsoftが失敗に学ぶ成長マインドを組織文化の中心に据えるなど、この傾向はますます強まっている。優れた文化を持つ組織が変化に対応して生き残り、優秀な人材は文化で組織を選ぶ時代が来ているのだ。

 手稲渓仁会病院もまた、39年前の創設当初から「先見・先取・先進」とともに醸成してきた組織文化を大きな強みとして、変化に対応しながら成長してきたと言える。

 札幌郊外の手稲区に位置する手稲渓仁会病院は、1987年、高度急性期医療を提供し、地域医療の中核を担う病院として創設された。開院当初から、創設者のもとで「患者主体の医療に徹する」「地域に開かれた病院を目指す」「高度な医療をわかりやすく提供する」「学習機会の積極的活用による前向きのチーム医療を実践する」というビジョンを掲げ、理想の病院づくりを実践してきた。同院院長の古田康氏は、その基本姿勢を「先見・先取・先進」と「卒後教育の充実」と表現する。

「当院は畑の中に突如できた200床の小さな病院でしたが、将来を見据え、新しいことを先取りする姿勢を貫きながら、660床の大規模病院へと発展してきました。その間に、2001年に国内で先駆けて導入した北米式初期臨床研修、2005年のドクターヘリの北海道での初導入、2006年のDPC(診断群分類別包括評価)対象病院指定など、先進的な取り組みをさまざまに実践してきました。ロボットアームを用いたダビンチ手術、TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)も、当院が北海道初導入です」(古田氏)

 同院が、新たな医療技術や医療システムを先進的に取り入れられる理由として、古田氏は「密な横のつながり」と「新しいことに手を挙げやすい組織文化」を挙げる。新しい試みに対しては、速やかに院内にチームが立ち上がり、試行錯誤して改善しながら取り入れていくのだという。

 縦割り構造の強い大学病院等に比べて、小規模な民間病院から発展した同院は、横の連携を取りやすい構造がある。加えて、創設当初から続く「卒後教育の充実」が、同院の組織文化の醸成に大きく貢献してきたのだ。

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