<span>「花火、きれいだね」</span>
イラストレーション:大橋裕之

 妹のスマートフォンには、母が亡くなる半年前に撮られた動画が残っていた。その動画を、葬儀が終わったあとに、こっそり見せてくれた。画面の中で、母は笑いながら、山の向こうに現れては消える、花火を見ている。

 僕の実家は、横浜郊外の築五十年を超えたマンションの六階にある。窓の外には、小高い山がひとつ見える。その山の向こう側には、「みなとみらい」がある。夏になると、みなとみらいの花火が、山の向こうから、ひょこりと顔を出しては消える。

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