社会

地震後に再入館も爆発を逃れた「イオンモール熊本」従業員の戦慄体験と“マニュアル”への疑問

2026年8月26日


<span>地震後に再入館も爆発を逃れた「イオンモール熊本」従業員の戦慄体験と“マニュアル”への疑問</span>
イオンモール熊本

7月28日、熊本県内を震源とする地震で「イオンモール熊本」では建物内にいた従業員や客が一斉に避難した。ところがその後、店舗の被害確認や私物の回収などのため、従業員の一部が再び館内へ。そこで勤務していた女性も、会社から「早く帰って」と促されながら、同僚2人と再入館した。店舗で約10分を過ごし、建物を出てわずか3分後、館内から「ドカーン!」という凄まじい音が響いた。南側では爆発が発生し、死傷者も出た。なぜ彼女たちは再入館することになったのか。そして、避難後の“再入館”をめぐる現場の認識と会社側の説明には、どんな隔たりがあったのか――。九死に一生を得た従業員の証言から我々が非常時に肝に銘ずるべき「教訓」を学ぶ。

静かだったバックルーム

 私はイオンモール1階のアパレル店に勤めています。地震が起きた時、店内には私を含めて3名のスタッフがいました。平日でしたが、夏休みに入ったばかりでしたので、子供や学生が多く、結構お客さんが多かった。

 16時27分、私は商品のストック置き場となっているレジ裏手のバックルームにいました。バックルームは長い通路みたいなスペースで、壁には天井に届くぐらいの高さの棚が並んでいて、そこに商品が入った段ボールが入っています。物が落ちてきたら危ないと思ったので、地震が起きたときは「ヤバいヤバい」と、とっさに後輩の子の頭を抱きしめるようにして守りながら、しゃがんで揺れが収まるのを待っていた。幸いバックルームは棚が倒れることも、段ボールが落下することもなく、何事もありませんでした。段ボールは隙間がないぐらい物を詰め込んでいたから結構重いんですよ。それで、落ちてこなかったのかもしれません。バックルームは比較的静かだったのですが、表からは物が倒れるようなガシャーンとした音が聞こえてきました。

 揺れていたのは3分ぐらいですかね。揺れが収まってから店頭に出ると、二人のスタッフが店内にいたお客さんを外まで誘導しているところだった。天井からは白い埃が落ちてきていて、マネキンや商品を展示していたラックがほぼ倒れている状態。倒れて首がどっかに飛んでいったマネキンもありました。

「人命優先だから早く避難して」

 イオンモールは避難訓練で、正面出口を出た北側のエリアが避難場所になっていましたから、どこの店舗でも、そこにお客さんを逃がしていました。会社のマネージャーからは、「人命優先だから、みんなも早く避難して」と言われ、すぐに我々も避難することに。その際、何があるか分からないからと、とりあえずロッカールームに入れていた私物の荷物を各自持っていきました。ロッカールームはレジ裏手のバックルームの中にあり、そんなに時間もかかりませんので、すぐに貴重品などを持って、3人で北側の避難場所に出ました。お客さんを出してから1〜2分ぐらいで我々の避難も完了したかたちになります。出口に近いこともあり、比較的早い方だったと思います。

20607_02.webp
イオンモール熊本館内地図

 避難場所にはそれぞれの店舗スタッフが避難してきて、ごった返していて、すごい人の数でした。

 外に出てしばらくすると家族に電話をかけ、お互いの安否を確認しました。バックルームには会社のパソコンがあり、電源が入れっぱなしになってるので、火災なんかになったらまずいと心配でした。こういう時は泥棒も怖いので、レジの鍵は閉まっていましたが、お金のことも心配でした。

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

注目の特集

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの電子書籍

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する