早くも邦画アニメで今年ナンバー1の売上が確実視される
昼下がりの8月最後の日曜日。都心のTOHOシネマズを訪れると、300近くある客席はほぼ埋まっていた。親子連れのほか、カップルや女性同士のグループなど、客の年齢層は小学生から40代までと幅広い。
「何だか、身につまされる内容だったな」
映画が終わると、大人たちはこんな感想を漏らしながら劇場を後にした――。
『映画ちいかわ』が絶好調だ。7月24日の公開日だけで興収9.9億円を記録し、シリーズ最高の158億円を打ち立てた『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(2024年公開)の初日(9.6億円)を上回る滑り出しを見せた。
勢いはその後も止まることなく、公開45日間の興収は138億円。早くも今年の邦画アニメでナンバー1の売上が確実視されている。
アニメビジネスに詳しいジャーナリストの数土直志氏によれば、
「『ちいかわ』は24年から3年連続で日本キャラクター大賞グランプリを受賞するなど、いまや圧倒的な知名度を誇ります。もともとは原作者のナガノ氏が20年からツイッター(現X)上で連載していた漫画が話題を呼び、翌年に講談社が単行本化。当時のファンの中心は、リアルでシュールな作品の世界観に魅せられた大人たちでした」
「ちいかわ」で描かれるのは、つましくも、ささやかな喜びに溢れた日常だ。性別不明の二頭身のキャラクターたちが草むしりといった労働に精を出し、報酬アップを目指して検定試験に挑戦。時にはモンスターを討伐する危険な仕事に従事するなど、友情とともに残酷な世界が描かれる。
22年にフジテレビが朝の情報番組『めざましテレビ』内でアニメの放送を始めると、キャラクターの愛らしさがウケて、ファン層が一気に子供へと拡大。ちなみに「ちいかわ」とは、“なんか小さくてかわいいやつ”の略である。
快進撃を続ける映画の裏で、浮かない顔を見せるのは、意外にもフジ関係者だ。