片山氏は9月5日、自民党兵庫県連主催のセミナーに参加した。ピンクのジャケットに大ぶりな真珠のネックレスを身に着けた装いで壇上に登場すると、こう力説したのである。
「日本は2040年にはGDPが1100兆円の国になります。自信を持っていこうじゃないですか。今投資しなかったら、いつ投資するんだ」
会場から拍手が沸き起こると、次のように続けた。
「皆さんに拍手をいただいたということで、総理に報告して帰りたいと思います。我々恐竜コンビとか言われていますが、最近はライオンとか言われてちょっと出世したかなと」
片山氏がかように“日本買い”を煽るのは、この間の“日本売り”が理由だろう。円相場は7月末、40年ぶりに1ドル163円まで下がった直後、日米協調介入を受けて155円まで戻しながら、8月28日には再び160円まで下落。債券相場でも長期金利が9月1日、30年ぶりに3.0%まで上昇したのである。
「背景には高市政権が掲げる積極財政があります」
とは経済部デスク。
「歴代政府が堅持してきた国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の単年度黒字化目標を就任直後に撤回。債務残高国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げに目標を切り替えました。さらに、AI・半導体等の分野を含む『強く豊かな日本』投資枠などについては、各省庁の予算要求の上限(シーリング)を撤廃したのです」(同)
結果、概算要求総額は過去最大の143兆円に。
「市場関係者は“高市政権の積極財政が行き過ぎではないか”と懸念を募らせています。“日本売り”が進んだゆえんです」(同)
この事態に我慢ならなかったのが米国である。9月2日未明(現地時間1日)、ベッセント財務長官が20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後会見で突如、次のように言い放ったのだ。
「アベノミクスで大きな成功を収めたのだから、今はその成果を生かしてリフレ政策をやめるべきだと(日本側に)伝えた」
東短リサーチ株式会社代表取締役社長でチーフエコノミストの加藤出氏が言う。
「ベッセント氏の要求は非常にシンプル。“円安を止めてくれ”ということに尽きます。今、米国は各国の関税を引き上げて、貿易収支の改善を図っています。しかし、円安が進むと日米間の貿易収支は改善しにくくなる。また、日本政府が円安を止めるために為替介入で円を買い、米国債を売却すれば米国の長期金利が上昇する要因にもなる。米国はそのような事態を避けたいわけです」