社会

氾濫する「ポエム記事」に無意味な「社説」 「新聞協会賞」“受賞作なし”全国紙はなぜ劣化したのか

2026年10月6日


<span>氾濫する「ポエム記事」に無意味な「社説」 「新聞協会賞」“受賞作なし”全国紙はなぜ劣化したのか</span>
今年の「新聞協会賞」は全国紙の受賞なし

〈日本新聞協会が年1回、優れた報道の担い手に贈る賞です〉。1957年に創設された「新聞協会賞」のホームページに記された紹介文だが、今年はなんと全国紙に受賞記事はなし。新聞から“優れた報道”が消えた原因は何なのか。斯界を覆う病巣に迫る。

 新聞各社からの応募総数はのべ108件。この中から新聞の“心臓部”とも呼ぶべき「ニュース」部門で受賞を果たしたのは、福岡県議会のさまざまな疑惑を報じた西日本新聞社〈調査報道「歪んだ関係―福岡県政を追う」〉だった。

 新聞協会賞の選考過程について協会関係者が明かす。

「まず各紙で“これならいけるんじゃないか”という記事を決めて、協会に申請します。申請の際には、当該記事と共に、派生記事や解説記事、ネットの記事や他紙の記事まで、すべて関連資料として協会に送る。この資料だけで10センチほどの厚みになる。“こんなに影響力があったぞ”とアピールするわけです」

 協会に届いた資料は、加盟社に振り分けられる。

「資料に目を通せる編集幹部の人数などに応じて、A社は10本分、B社は20本分といった具合に分担します。その記事を複数の編集幹部がそれぞれ採点し、合計点を出す。採点結果は協会の選考分科会にかけられ、一次選考通過記事が決められます」(同)

 採点と同時に、評価の理由を記すこともある。さる全国紙編集幹部が明かす。

「例えば高得点の記事には“取り上げるべきテーマであるし、取材も調査も深みがある。社会に与えた影響も大きい”と書く。取材が一方だけに偏っていると、高得点になりにくいです」

 こんな“心理戦”も展開されているという。

「朝日、毎日、読売、産経、日経の全国紙5紙はライバル。敵に塩を送らぬようお互いの評価は辛くなる。対して、ブロック紙など地方紙の評価は甘くなる傾向があります」(先の協会関係者)

 ともあれ、こうして一次を通過した記事の中から、加盟社の編集局長クラスで構成される選考委員会が受賞作を決める、というのが新聞協会賞の流れである。

 仮に足の引っ張り合いがあるにせよ、近年でも毎年全国紙から受賞作は出ていた。つまり、今年の“受賞なし”という事実からは、端的に全国紙の劣化を読み取るべきではないだろうか。実際朝日新聞は、7月の熊本地震の際、劣化を象徴するような大誤報を出していた。

「7月29日に朝日は〈『真っ暗で煙吸った』 崩落のイオンモール、途絶えた彼女のLINE〉という記事をデジタル版で配信しました」

 とは、朝日新聞関係者。

「“イオンで働いていた交際相手と連絡がとれない”と語る男性の記事でした。ところが、該当しそうな被害女性が実在しないなど、男性の話に疑わしい点が次々と見つかった。見出しにもあるようにLINEのやりとりがキモなのに、なぜか担当記者はLINEの画面を確認していなかったことも判明した」(同)

 にわかには信じがたい。

「当該男性への再取材も果たせず、結局2日後に公開停止。さらに4日後には記事を削除して“謝罪文”の掲載に至りました」(同)

 ただでさえ情報が錯綜する災害報道において、誤報は“命取り”になりかねまい。改めて朝日新聞に一連の経緯を尋ねると、

「LINE画面を確認していなかったことを含め、裏付け取材と社内のチェックが不十分だったと判断し、記事を取り消しておわびしました。事実確認が不十分な記事を配信したことを重く受け止めており、社内で検証を続けて再発防止に取り組んでまいります」

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