一連の不正会計に伴う減損損失額が累計で1兆円を超える見通しだと、ニデックが発表したのは10月1日。会見には、その2日前に就任したばかりの戒田理夫新社長(70)ほか、監査法人PwCジャパンの久保田正崇代表執行役も同席する異例の事態となった。
経済ジャーナリストの井上久男氏が言う。
「PwCジャパンはニデックが9月30日に関東財務局へ提出した2026年3月期の有価証券報告書(有報)に対し、監査意見を不表明としました。実は同社が監査法人として意見を表明しなかったのはこれで3回連続となります。1回目は前年(25年3月期)の有報、2回目が25年4~9月までの半期財務諸表に対するものでした」
騒動の端緒は昨年、ニデックの海外子会社で不適切な会計処理が明らかになり、同年9月に独立した第三者委員会が立ち上げられたことだった。その後、利益の水増しや評価損の未計上といった不正会計だけでなく、検査データの改ざんなど計844件にのぼる品質不正行為も発覚。26年3月期連結決算では過去最大となる5646億円の赤字へと転落した。
「PwCジャパンが先の2回で意見表明しなかった理由は、不正を調べる第三者委員会の調査が終了していなかったためです。しかし今回は、(1)会計不正に関与した人物たちが今も財務報告に関わっている。(2)そんな彼らから入手した監査証拠は信頼できない、という理由でした。つまり監査法人として“ニデックの内部改革は進んでいない”と判断したに等しく、これまでより重い指摘を含んだ不表明となります」(同)
(1)と(2)に関しては、不正が海外拠点も含め広範囲にわたるのに加え、彼らを決算業務から外すと仕事が回らなくなるといった実務的な事情が大きいとされる。