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日本は原子力潜水艦を持てるのか――AUKUSにみる2つの条件

2026年10月23日


<span>日本は原子力潜水艦を持てるのか――AUKUSにみる2つの条件</span>
米豪はAUKUSのもとで豪海軍要員の訓練を進めている[ヴァージニア級SSN「USSヴァーモント」の魚雷室でチェックリストを確認する米豪両海軍の乗組員=2025年11月3日、オーストラリア・スターリング海軍基地](C)U.S. Navy Photo by Ashley Calingo

日本が原潜導入を検討する場合は、その優位性・必要性が高い任務を明確にし、限られた資源をどのような優先順位で配分するかの判断が必須だ。原潜は「目的」ではなく「手段」である。原潜が優位性を持つ任務としては、太平洋防衛や「いずも型」護衛艦の防護などが考えられる。しかし、AUKUSでの豪州の事例をみれば、(1)米国の原潜技術を共有する以上は「必要なときにともに戦う」、(2)訓練・乗務でも米軍と一体化する――ことが前提として求められている。これをモデルとするのであれば、個別の装備の話では終わらず、同盟の本質や日本の覚悟が問われることになる。

 2026年末に予定される国家安全保障戦略をはじめとする戦略三文書の改定を控え、にわかに議論が活発になっているのが、原子力潜水艦保有の可能性である。政府の動きとしての発端の一つは、2025年9月に発表された防衛省の有識者報告書に含まれた「次世代の動力」の検討だった。その目的が「長射程のミサイルを搭載し、長距離・長期間の移動や潜航」を可能にするためとされたことから、主として原子力動力を指すと理解されてきた。政府は特定の動力を念頭に置いたものではないとしつつ、小泉進次郎防衛大臣は、原子力に関する「議論を排してはならない」と繰り返している。

 日本が原子力潜水艦を保有することの是非については、すでにさまざまな議論があるが、すべての前提になるのは、原潜保有はそれ自体が「目的」ではなく、「手段」だという点だ。まず、いかなる任務のために原潜が必要なのかを問う必要がある。そのうえで本稿では、米英豪のAUKUSを参照しながら、原潜技術共有の条件を抽出することにしたい。結論を先取りすれば、そこで浮かび上がるのは、米国の戦略・作戦の一部になり、要員訓練においても米軍と一体化する豪州の姿である。それはもはや、原潜という個別の装備の問題という範疇にとどまらず、同盟のあり方の本質にかかわってくる。

原潜を必要とする任務とその優先順位

 日本が原潜を導入する場合に考えられるのは、攻撃原潜(SSN)と呼ばれるものであり、米国のヴァージニア級、英国のアスチュート級などが該当する。それら潜水艦の任務は、対潜水艦戦(ASW)、対水上艦艇戦、対地攻撃、情報・監視・偵察(ISR)、機雷戦、空母打撃群などの防護を含め、多岐にわたる。

 冒頭で触れた2025年の防衛省有識者会議の報告は、長射程ミサイルの搭載という、対地攻撃の文脈で「次世代の動力」を位置づけているが、いわゆる反撃能力プラットフォームとしての活用は、原潜の役割のごく一部に過ぎない。

 平時を含めて日本にとってより重要になるのは、第1に太平洋防衛である。従来、海上自衛隊の潜水艦は、主として日本近海で活動していると考えられてきた。現行の通常動力による「そうりゅう型」、「たいげい型」はいずれもその環境に最適化されたものである。しかし、地理的活動範囲が太平洋に大きく広がる場合、長期間の潜航や速度がより必要になり、結果として原潜の優位性が高まる。太平洋防衛は、国家安全保障戦略でも重要な項目になるといわれている。

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