少子化とセックスレス
1970年代、オイルショックの頃から本格的に始まった「少子化」。短くないその“歴史”のなかで「児童手当」など各種支援金や補助金の拡充が図られてきた。3年前には「こども家庭庁」なる行政機関が発足したものの、今のところめざましい成果は上がっていない。
そもそも少子化は憂うべき事態なのだろうか。
「私は人口減少を“問題”ではなく“現象”として捉えています」
そう語るのは、国際教養大学の工藤尚悟准教授だ。
「少子化への対策というと、人口の増加・安定を目指す施策が目立ちますが、その効果は限定的にならざるを得ません。たしかに人口が減れば働き手が不足し、公共サービスやインフラを維持するために負担する一人あたりの費用は高くなります。しかし、これらの問題は、人口が増え続けることを前提に作られた仕組みを、そのまま維持しようとするから生じているのではないでしょうか」
人口増を目指すのを諦める代わりに、必要なのは“人口減少時代にふさわしい社会を再設計すること”だという。
「例えば人口が減った地域では、従来のように学校や病院を維持するのは難しくなる。そこで、空き家や空き店舗などを学びの場として活用し、積極的にオンライン授業を取り入れるのも一つの方法です。医療についても、訪問看護とオンライン診療を組み合わせるなど、新たな仕組みを作ることができるはずです」(同)
少子化と切っても切れないのが、夫婦の性生活だ。
家族問題評論家の池内ひろ美氏によれば、
「夫婦問題を抱えて相談に来られる方の7割以上はセックスレスに悩んでいます。20~30代の場合は、結婚して10年以上経つと、この悩みが急激に増える。新鮮味もなくなるし、“相手のお腹が出てきた”といったネガティブな面が目につくようになってしまいます」
さらに齢を重ねると、理由が変わってくる。
「40代は子育てに忙しいので、性生活について考える暇がありません。子育てが一段落つく50代になると、夫婦がもう一度“男女”として向き合うか、家族という共同体の“仲間”として生きていくか、選択を迫られることになります」(同)
肉体的にも変化が訪れる。
「男性は性的な欲求や機能が衰えますし、女性は閉経によって性交痛が出てくることもある。そうなると、相手への思いやりとしてセックスをしない選択がありえます。外出するときに手をつなぐ中高年夫婦で、性生活がないというケースは珍しくない。毎日言葉を交わしてハグするなど触れ合いがあれば、無理してしなくていいのではないでしょうか」(同)
家やマンションを買うべきかどうかも、夫婦にとっては大いなる悩みどころだ。不動産経済研究所の調査によれば、今年上半期、東京23区内の新築マンションの平均価格は1億4000万円を超えている。
「最近では不動産価格の高騰で“持ち家・持ちマンションが欲しいけど持てない”という人向けに、50年住宅ローンが注目されていますが、とんでもない話です」
そう喝破するのは、経済ジャーナリストの荻原博子氏である。
「40~50代のマイホーム持ちは、親の世代から“まじめに働けば家ぐらい買える”と言われ、家やマンションを持たなければならないという呪縛に囚われているんです。でも、みんなローンでヒーヒー言ってるじゃないですか。私はむしろ、マイホームを諦めるほうが正解だと思いますね」(同)
その理由として、現代社会における不確定要素の多さを挙げる。
「転職すれば勤務場所も変わるし、離婚すればどちらかが引っ越しをしないといけない。老後は老人ホームなどの施設に入るのが一般的になっていて、今や“一生同じ家に住む”という時代ではありません」(同)
ジャングリアとキャバクラに共通する認知バイアス
庶民の手が届かなくなったのはマイホームに限らない。歴史的な円安で、海外旅行も“遠い夢”になりつつある。コロナ禍前の2019年に約2000万人だった出国者数も、近年は1500万人に満たないのだ。
経済評論家の門倉貴史氏によれば、
「実際、ハワイに旅行する日本人観光客の数は、コロナ前と比べて半分程度になっていますね。トレンドは“安近短”、つまり近場で費用が安く、日帰りや短い日程でこなせる旅行に移ってきていると思います」
そんななか、昨年度、過去最高の観光客数を記録したのが沖縄県である。この調子でいくと、今年度も記録を更新する勢いだという。
沖縄といえば「ジャングリア沖縄」が鳴り物入りで昨年オープンしたばかり。しかし、のっけから“火の車”で、開業後初の決算では173億円の赤字だった。
「ジャングリアの経営主体が想定していたのは、年間150万人の来場者でした。いざ蓋をあけてみると100万人ほどで目標と結果の数字に大きな乖離が出てしまった。沖縄では“一人負け”の状況です」(門倉氏)
“敗因”は何か。