<span>“PHPだけではない”セキュリティの専門家が指摘するサイバー空間で企業が取り組むべきこと</span>
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首相のホームページからアダルトサイトに至るまで、ウェブサイトが軒並み「メンテナンス中」となったのだから前代未聞である。世界中を巻き込んだ“PHP騒動”の余燼は、一週間を経てもなおウェブ上でくすぶっている。普通に暮らしているだけでは見えてこないサイバー空間で何が起こっているのか。そして、同じような事態が発生する可能性はないのか。識者たちの分析で課題をあぶり出す。

「総理も言ってますから」

 何のことかよくわからないが、何やら大変なことになっているらしい――。10月21日の夜、高市早苗首相が〈皆様に、今夜に対応して頂きたい大至急のお願いです〉とSNSに書き込んだ内容に触れて、そう思った人は多いはずである。

 実際に多くのサイトが「メンテナンス中」となり、通常のサービスを受けられない状態が続いたのはご存知の通り。降ってわいた事態に徹夜作業を余儀なくされたエンジニアも数知れないという。

「高市首相の投稿によって、現場の方々はかなり助けられたと聞いています」

 そう語るのは、独立行政法人「情報処理推進機構」(IPA)セキュリティセンター対処調整部の大久保直人氏。

「各会社のシステム管理担当者が“サイトを閉じましょう”と幹部に進言するにあたって、“総理も言ってますから”と言い添えることができたでしょうから。迅速な対応をする上で有用だったはずです。今後は首相の発言が無くとも、経営者自らサイトを停止してでも脆弱性を解消させる英断を下して欲しいですね」(同)

 ともあれ、まずは何が起こっていたのかおさらいしておこう。

「みなさんが普段見ているウェブサイトの裏側では、プログラミング言語が使われています」

 とは、サイバーセキュリティに詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授である。

「PHPもそのプログラミング言語のひとつ。今回、そのPHPに脆弱性が見つかったというのは、ソフトウェアに存在する欠点が見つかったということです。その欠点を悪用されると、ウェブサイトそのものが乗っ取られてしまう可能性もあるのです」(同)

 EGセキュアソリューションズ株式会社取締役CTOの徳丸浩氏があとを継ぐ。

「今回の脆弱性を悪用すれば、開発者さえも把握していない“バックドア”という出入口を作って情報漏洩させたり、プログラムを書き換えて不正な操作をしたりすることもできる。クレジットカード決済があるサイトから、金銭のやりとりを勝手に発生させることも可能なくらい、重大な部類の脆弱性でした」

 想像するだけで怖ろしい。

「この脆弱性自体は、実は2年ほど前に見つかっていました。悪用される可能性も認識されていたものの、悪事を働くハッカーからの具体的な攻撃手法が見つかっていないという理由で、修正しないまま来てしまった。ところが、その攻撃手法をOpenAIが見つけ、それがきっかけで今回の騒動に発展したのです」(同)

守るのもAIなら、攻めるのもAI

 PHPは世界中のサイトの約7割に使用されているという。ありとあらゆるサイトが緊急メンテナンスで事態に対応したのが功を奏したか、攻撃の被害にあったという事例は、今のところない(10月26日現在)。 

 もっとも、にわかに注目された「脆弱性」だが、ウェブ上で脆弱性が発見される事自体は、決して珍しくない。

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