業者間に見える奇妙な共通点
“異変”に気づいたのは、今年8月に入ってからだったという。
振り返れば7月以降、代行業者と思しき見慣れないアカウントが、一日に何度も大量の注文をしてくるようになった。アート関連の本から専門的な歴史書まで、ジャンルはバラバラで、発注の仕方にも脈絡がない。そんな状況が連日続き、スタッフの間で「なんかおかしいよね」と話題になったというのだ。
「転売目的でも、似たような買い方をするお客様はいますが、それにしては発注の規模が大きすぎました。過去にはなかった形での注文が増えているのは、間違いないことです」
こう証言するのは、東京・吉祥寺に実店舗を構え、オンラインサイトでも古書を販売する「古本よみた屋」代表の澄田喜広氏だ。
「うちの店では普段、オンラインで月平均1000冊ほどを販売しています。ところが8月と9月は、さらに500冊ほど売り上げが伸びていたのです。今は少し落ち着いてきたものの、従来とは異なる形での大量注文が終わったわけではありません」
現在、全国の古書店で、同様の注文が相次いでいるという。こうした事態を受けて古書業界では、海外のAI企業が日本の古本を買い漁っているのではないかとの噂が広まった。
実際、アメリカでは、大手AI企業「アンソロピック」が数百万冊規模の古書を購入し、AIの学習に利用していたことが、作家らが起こした訴訟を通じて明らかになった。同社は古書を最終的に裁断し、破棄していた事実も確認されている。
日本の古書店に大量注文を入れているのは、いったい何者なのか――。