<span>2040年、その差は2%にも――知らないと恥ずかしい、財政の未来をはかる物差し「ドーマー条件」入門</span>
Andrzej Rostek / shutterstock.com

ニュースや経済記事で「ドーマー条件」という言葉を目にする機会が増えてきた。政府債務残高のGDP比を安定させるうえで重視される指標で、政府が負担する金利と名目経済成長率の関係を指す経済用語だ。日本では2010年代を通じてドーマー条件が成立してきたが、長期金利の上昇によって環境は急激に変化している。日本総合研究所の主席研究員・西岡慎一氏は「長期金利の上昇によって2030年代にはドーマー条件が不成立となる局面に入る可能性がある」と指摘する。ドーマー条件が崩れた先、日本の財政はどのように変貌するのだろうか。

経済学者エブセイ・ドーマーの名に由来する

「金利のある世界」は、新たな局面を迎えている。長期金利の代表的な指標である新発10年物国債の利回りが、2026年秋に3%を超え、約30年ぶりの水準まで上昇したのだ。

 金利と聞けば、預金の利息や住宅ローンの返済金利を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、金利上昇の影響を考えるうえで忘れてはならないのが、巨額の債務を抱える政府の財政問題である。

 政府は国債を発行して資金を借り入れ、債務によって生じる利息を支払っている。金利が上がれば、やがてその利払い費も膨らむことになる。2026年度の国債の利払い費は13兆円に達し、国の一般会計歳出の約1割を占める見通しだ。利払いの負担が増すほど、教育や子育て、社会保障などに振り向ける財源の確保が難しくなる。その意味で国債の金利は私たちの暮らしにも深くかかわっているのだ。

 では、金利の上昇に日本の財政はどこまで耐えられるのだろうか。その行方を考える手がかりが、米国の経済学者エブセイ・ドーマーの名に由来する「ドーマー条件」である。

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