所有機や船舶に『KUMA』の名を
神奈川県横須賀市佐島。相模湾を望むマリンリゾートの海沿いに、ひときわ目立つ白亜の建物がある。GMO所有の迎賓館「GMOマリーナ&スパ佐島」だ。地上3階建て。リビングは2階まで吹き抜けで、大きな窓の向こうには屋外プールと青い海。船舶を繫留できる桟橋も隣接している。
熊谷代表はここにヘリで向かう。しかも自ら操縦桿を握り、近隣のヘリポートに降り立つ。住民は発着時の騒音に眉をひそめるが、熊谷氏は気にも留めていないのか。騒々しい音楽が鳴り響く迎賓館で客らに酒を振る舞い、満足げな笑みを浮かべるのが常だという。
だが11月2日、記者会見に臨んだ熊谷氏の面持ちは一転して神妙だった。今回の情報流出を招いたシステムの脆弱性が2年前には判明していた件について、
「専門家からシステム上の課題の指摘を受けていたことも事実です」
と陳謝。会見半ばには涙ぐむ場面すらあった。
経済部デスクが言う。
「GMOの2025年12月期の連結決算は17期連続増収で売上高2856億円、営業利益も過去最高の571億円を記録しました。業績は好調ですが、じつは株主総会での熊谷氏の信認率は5割台と低い。株主からガバナンスを疑問視する声も上がっていたのです。香港のアクティビスト・ファンドが〝熊谷氏のプライベートジェットの燃料費を会社が負担しているのはおかしい〟などと問題提起したこともあります」
25年12月期の有価証券報告書によれば、GMOは熊谷氏の資産管理会社に「航空機及び船舶の利用」として年間3億5800万円もの巨費を支出している。
「熊谷氏は〝仕事で使っているのだから、会社が負担するのが筋〟と主張しています。が、公私の線引きは曖昧です」(同)
現在、熊谷氏はヘリコプター「SKY KUMARKⅡ」(推定価格10億~13億円)のほか、プライベートジェット「SKY KUMARKⅢ」(同107億~117億円)や、GMO名義のクルーザー「SEA KUMARKⅡ」(同2億~5億円)、「SEA KUMARKⅢ」(同12億~15億円)などを保有する。それらの燃料費を会社に負わせるのはおかしい、と株主は指摘したわけだ。
「所有機や船舶に自身の苗字にちなんで『KUMA』の名を冠し、機体や船体にもクマのマークをあしらうなど、たしかに熊谷氏個人の趣味の要素が濃いと思います」(熊谷氏を知る関係者)
自身が操縦するヘリもまた、銀色の胴体部分に黄色いクマのマークがペイントされている。迎賓館の近隣住民が言うには、
「熊谷さんのヘリは2、3年前までは本当に頻繁にやってきていました。在宅で働く私の妻がそれですっかりノイローゼ気味になってしまって……。クマのマークが入った機体が大音響とともに近づいてきて、超低空でうちの屋根をかすめて行くんですから。それは恐ろしいですよ」
怒りは収まらない。
「特に夏休みの時期になると、週に何度も来るんです。飛行準備のためなのか、ヘリポートではしばらくアイドリングよろしくプロペラを回し続けるし。〝ガボガボガボ〟という轟音が響いてね。あたりは重油のようなにおいもして、不快で仕方ないですよ」(同)
ダイヤルQ2からインターネットへ
以下は別の住民の話。
「1カ月に1回程度だけど、週末の日中、GMOの施設から騒音が聞こえてきます。クラブミュージックのような〝ズンズンズン〟という重低音で。歌手を呼んでの生演奏などもあるみたい。歌声だけでなくシンバルの音がジャンジャン鳴り響くこともありました。のどかな場所なんだから、もう勘弁してほしい」
異口同音に苦情を申し立てる住民たち。だが、迎賓館で何が繰り広げられているかまでは知り得ない。
「来賓客は著名な企業家やモデルのようなキレイどころ。彼らを乗せた熊谷氏のクルーザーは東京湾を突っ切って相模湾に入り、迎賓館前の桟橋に接岸します」
とは、GMOの関係者だ。
「熊谷代表が懇意にする高級寿司店の職人や高級中華料理店の料理人らが迎賓館に出張してきて、趣向を凝らした料理を提供する。代表の好みは1本100万円は下らないフランスの赤ワイン『ロマネ・コンティ』で、パーティーでは最高級のシャンパンも振る舞われます。興が乗れば、代表がDJプレイを披露することもありますね」(同)
まさに酒池肉林もかくや。熊谷氏はいかにして、ここまでの財を成したのか。