ドルトン東京学園は「定期テストなし」
私たちドルトン東京学園が掲げるのは「自由と協働」ですが、「自由」と聞いて、生徒たちがサボる方向に流れるのではないか、という疑問を色々な方々からよくぶつけられます。特に「管理」を徹底してきた日本の従来の教育と、「自由」は逆の概念ですから、中高生に自由を与えることに拒否感を示すような教育関係者や保護者も多いです。
たとえば、本校では、勉強をしない生徒に対しても、ことさらに注意することはありません。もちろん、他の生徒の学びを妨げるような行為は認められません。そのかわりに、「授業は理解できている?」「課題は間に合う?」「グループワークに参加しなくても大丈夫?」といった問いかけを重ねることによって自分でそうした間違いに気づいてもらう。中学校、高校で6年間の期間があるわけで、誰しも一度くらいはサボりたくなるタイミングはあります。でも、6年間サボり続けるケースなんて見たことがない。大人になったら、自己管理するのは当たり前ですし、自分の人生に責任を取るのは自分自身です。その当たり前のことを、中学高校という早い段階からしてもらっているという感覚です。
そもそも、本校が採用する教育メソッドのドルトンプランとは、「子どもに自由を与えればいい」というような単純な教育方法ではありません。このプランは、1920年代にアメリカの教育家のヘレン・パーカーストという人が提唱したもので、一人ひとりの知的な興味や旺盛な探究心を育て、個人の能力を最大限に引き出すことを目的とする、子どもの主体性を中心にした学習法です。私は、“子どもを学校に合わせるのではなく、学校という仕組みを子どもの生き方に合わせて組み替える”思想だと捉えています。また、約100年前に日本でいくつかの学校がドルトンプランを導入したもののうまく根付かなかったのは、その理念だけが輸入され、実際の環境を整えることができなかったからでしょう。では現在、本校ではその子どもが主体という理念を実現するために具体的にどのような仕組み・環境を整えているのか、紹介します。
まず、大きな特徴の一つとして、定期テストがありません。ドルトンプランでは知識は詰め込まれるものではなく、自分で詰め込んでいくものという考えなんです。それに自分で覚える必要性を感じないと、覚えても役には立ちません。もちろん、知識がたくさんあることで高度な思考ができるようになるし、失敗が少なくなるということは否定しません。ただ、うちでは教科書で知識を詰め込む前に、自分で課題を立ててそれに取り組む。そうすると、必ず壁にぶつかります。そこで改めて「自分には何が足りないのか」ということに気付き、能動的に考えるようになるんです。そうした機会がないまま大人になると、ずっと他者から指示されることを待つような人間になってしまう恐れがあると考えています。自分が何を学びたいのかまだ決まっていないという段階から、とにかく“自分の頭で考える”ことを重視しています。