<span>銀行が「この金利では貸せませんね」と貸し渋る日――日銀「2%到達」宣言で意識される「利上げ終了」の前提条件</span>

日銀は10月の金融政策決定会合で政策金利を「1.25%」に据え置くことに決めた。ニュースのヘッドラインとなったのは「基調的インフレの2%到達」が宣言されたことだ。これは日銀が継続的な追加利上げの姿勢を示したものと受け止められるが、焦点となるのはその先の展開。日銀の次の主要課題は「金融環境の中立化」(≒利上げ終了時期)に移るだろう。では、その前提条件とは――。

ETF売却ペースは今後も見直される可能性が高い

 10月29~30日に開催された金融政策決定会合(以降、MPM)では、政策金利を1.25%で据え置くことが賛成8・反対1(タカ派の高田創委員が1.5%への利上げを主張して反対)で決定された。9月末頃までは連続利上げを見込む(煽る?)報道なども一部にあったものの、客観的にみて連続利上げを迫られるような情勢ではなかったため、妥当な結果だった。

 金融政策の本筋である金利設定とは別に、ETF(上場投資信託)売却ペースの見直しも行われ、売却ペースを年間3,300億円程度から同8,600億円程度に加速させることが決定された。昨年9月に決定された変更前の売却ペースでは売却完了までに100年以上かかる見込みだったが、新しいペースでは約43年で売却完了となる見込みとなった。

 売却完了に“異次元”の時間がかかるということ自体に変わりはないが、現役の日銀職員(のうち中堅以下)が存命中のうちには異次元緩和の後始末が完結する見込みになったことは一つの前進と評価していいだろう。日銀が「できればETFをさっさと処分したい」と考えていることは明らかなので、今後さらに売却ペースを加速させるものと推測される。おそらくは2040~50年くらいまでにすべて処分することを現実的な目標としているのだろう。そのため、市場環境(主に株価)次第だろうが、来年以降もETFの売却ペースは見直される可能性が高いように思う。

 なお、もう1つの「満期なしリスク性資産」であるJ-REIT(不動産投資信託)の売却ペースは不変であった。方針維持の理由は不明だが、株価と比べてJ-REIT相場の低迷が目立っている(※)ことから市場価格にマイナス影響を与えることを避けたかったのかもしれないし、ETFと比べて保有残高が圧倒的に小さいため放置で構わないと判断したのかもしれない。このあたりは、「主な意見」(11月10日公表予定)や「議事要旨」(12月23日公表予定)が出れば多少考え方がわかるかもしれない。

(※)TOPIXが2025年末(3400pt強)から2026年10月末(4000pt弱)にかけて大きく上昇したのに対し、東証REIT指数は2025年末(2000pt強)から2026年10月末(約1650pt)にかけて大きく下落。

2%到達表明は「遅すぎた」という評価が妥当

 今回のニュースヘッドラインとなったのは「基調的インフレの2%到達」であった。筆者も本連載の前回で「今後の展望レポートのどこかで『基調的インフレの2%到達≒インフレ目標達成』が宣言される可能性がある」と書いたが、早々に2%到達を表明した格好である(ただし、「インフレ目標達成」ではないという位置づけだった)。

 日銀がその気になれば1年以上前からそうした評価は可能だったはずなので、2%到達表明自体に特に驚きはなく、むしろ「遅すぎた」という評価が妥当と思う。「基調的インフレの2%到達」と「インフレ目標達成」を切り離すのであれば尚更である。

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