画面に映らない情報を役者に伝えるべきか
――この映画を見ていると、画面に映っていないいろんな物語を想像したくなりました。誠はこれまでどういうふうに写真館を経営してきたんだろう、雄太は普段どういう生活をしている人なんだろう、とか。監督のなかでは、それぞれの登場人物の背景について、具体的に考えていたんでしょうか?
坂西:佑さんには渡していませんが、雄太の経歴や家族関係について書いたメモは事前に作っていました。ただそういう細部を映画の中で見せる必要はないと思ったし、むしろ見せないことで観客がより能動的になるだろうなと期待していました。九州にやってきた雄太が電話で仕事相手らしき人と会話していたり、昼間はパソコンに向かっていたりする。それを見た観客が「この人はどういう仕事をしているんだろう」と想像を膨らませる、それで十分だなと思ったので。
柄本:映画って結局、画面に映っている以上でも以下でもないですからね。役者さんには、少しでも情報を共有しておいたほうが安心して演じられる人もいるでしょうが、僕は画面に映らないことは知らないでいたほうがいいというタイプ。でも監督にとっては、一度文字にしておく作業が必要だった、ってことですよね。
坂西:そうですね。そうやって書いたことが実際の映画にどう活きたのかはわからないけど、でもどこかには活きているんだと思います。
心が震え思わぬところで落涙してしまう体験を求めて
――『メモリィズ』は、写真や映像によって現実を記録すること、そしてその記憶の共有のありかたを描いた映画ですので、ぜひお二人にも映画の記憶についておうかがいしたいと思います。坂西監督にとって、自分の大きな糧になったと思える映画はありますか?