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私たちが住むのは偏差値60を前提とする社会――知識社会で隠されている「分断」

2026年6月29日


<span>私たちが住むのは偏差値60を前提とする社会――知識社会で隠されている「分断」</span>

 「PIAAC」という調査をご存じだろうか。OECDが実施する国際的な「成人力(Adult Competencies)」調査のことで、「読解力」「数的思考力」「状況の変化に応じた問題解決能力」などを測るテストで構成される。無味乾燥にも思われるこの調査だが、その結果が明らかにするのは「日本人の3人に1人は日本語を読めない」という残酷な事実だ。知能は万人の間で平等ではない。それでも、確定申告から生活保護申請まで、読解力・思考力を要する複雑な手続きが至る所で見られるのは何故なのか。

OECDが実施する「成人スキル」調査

 PIAAC(Programme for the International Assessment of Adult Competencies)はOECD(経済協力開発機構)が実施している「国際成人力調査」の略称だ。第2回調査は2022~23年に実施され、その結果が24年12月に公表された。日本における調査の実施主体は国立教育政策研究所で、概要が『成人スキルの国際比較2 OECD国際成人力調査(PIAAC)第2サイクル報告書』(明石書店)として出版されている。 

 PISA(OECD生徒の学習到達度調査)は15歳(日本では高校1年に相当)の在学中の生徒の学習到達度を国際比較するもので、調査結果が毎回メディアで大きく報じられるから知っているひとも多いだろう。PIAACも同じ国際調査で、16歳から65歳の成人、すなわち労働力人口を構成する年代がどの程度、仕事に必要なスキルをもっているかを計測するのが目的だ。

 PIAACの成人スキルは、「読解力」「数的思考力」「状況の変化に応じた問題解決能力」の3つに分けられる。PIAACもPISAと同様に、それぞれの国の国民(成人)の認知的な能力を調べているが、奇妙なことに、PISAの順位が少し下がっただけで大騒ぎする日本では、PIAACについてはほとんど報じられることがない。

 読解力と数的思考力の成人スキルは「レベル1未満」から「レベル5」までの6段階で評価され、レベル3が事務職・専門職・管理職などホワイトカラーの仕事に必要な能力と考えればいいだろう。問題解決能力は「レベル1未満」から「レベル4」までの5段階評価で、仕事の内容を理解したうえで自力で解決法を導き出すには、やはりレベル3以上の能力が必要とされている。

 イメージをつかむために、PIAACの公開問題を紹介しよう。

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