規制線、人除け、監視の内側で
ここで具体的に「部会・調査会合同会議」の様子を見てみよう。
開会・進行は部会長の役割だ。
「定刻になりましたのでこれより会議を始めます。司会進行は〇〇部会長であります私・〇〇が務めさせていただきます」
いわゆる「ひな壇」と呼ばれる上座(報道陣の撮影では正面を向いた顔が映る)の位置には、調査会長・部会長と並び、幹部や大臣経験者などベテラン議員の席が用意されている。
冒頭に調査会長の挨拶が行われる。
メディアに公開されるのはここまでの数分間のみ。報道陣は退出を迫られ、その後は密室での議論となる。締め出された記者たちが、会議室の壁やドアの隙間に耳やICレコーダーを当てて内容を探る「壁耳」は伝統的な永田町の政治取材の手法であるが、最近はそれを問題視し、ドアに近付けないよう規制線が張られたり、党職員が人除けや監視に当たることも多い。
報道陣が退出した後、会議は議事に移る。法案の説明等は、会議室の左右どちらかの側の机を占拠する所管省庁の官僚が行う。各省庁は説明に加え、出席議員向けに何百部もの配布資料を印刷準備しなければならず、かつて早朝の会議のためのコピー取りは若手職員の深夜残業の定番だった。現在は、党本部と議員会館をつなぐ資料共有のシステムも完備され、タブレット端末閲覧によるペーパーレス会議となったため、コピー取り職員の負担は軽減された。
議員も官僚も部会で相手を見極める
会議資料1ページ目は、次第とともに出席官僚の役職・名前が明記されている。多くの部会で、局長はじめ審議官、課長などが居並ぶが、説明者は主に担当課長が担う。彼らの椅子席の後方には、その部下となる省庁の担当者が補足説明資料などを持ち込み同席している。
その後、質疑に移り、出席議員からの意見開陳や質問が示される。議員は出席省庁とは相対する机側に座るが、ひな壇以外は平場と呼ばれる自由席であり、途中参加や退出も多々ある。常に最前列に陣取る議員もいれば、予定外に党幹部やベテラン議員が現れ末席に座った場合、慌てて周囲が席を譲ろうとする光景等も見られる。
議員からの質問に答えるのも官僚の役割だ。この会議のやり取りを経て、議員側から評価されたり親近感を持たれ、その後何かと頼られる官僚も出てくる。
質問・意見が出尽くすと司会役の部会長から議案への賛否が問われ、「異議なし」との声や大きな、時にはまばらな拍手で了承される。実際に挙手や多数決で決裁されることはない。法案の字句の修正など議案への微調整が要求された場合も部会長や調査会長に「一任」される形で了承を取り付ける。これをもって会議は閉会となる。ちなみに自民党政調事務局(党本部職員)からの指示で、こういった会議の進行メモや調査会長の挨拶文案などを作成するのも官僚の仕事である。
官僚はこういった政調会を通じたやり取りなどを経て、各議員を評価している。個々の議員の政策への理解度や立案能力はもちろんのこと、自分たち省庁の施策に好意的か、または批判的か。省庁によっては密かにランク付けも行われているというが、官僚側にしても議員との協働関係は必須。政策形成過程に至る両者間のやり取りや部会等への対応を通じて、各省庁や業界への理解と人間関係が醸成されていく。
一本の法律案が国会提出されるまでには、部会→政審→総務会という事前審査を見据え、各省庁は入念に練った日程案をエクセルファイルで作成しているが、議員たちは「早耳」が好き。党内ヒエラルキーに沿って手続きを進めなければならず、その順番を間違えてはならない。
族議員は調査会に根づく⁉
政治家にとって権力闘争は付き物だが、政調会もその舞台だ。