特集|社会

Vol. 2

AIで現実味を帯びる“死者の再現” シリコンバレーで開発が進む「デジタル・クローン」が問う「人間の条件」

2026年8月26日


<span>AIで現実味を帯びる“死者の再現” シリコンバレーで開発が進む「デジタル・クローン」が問う「人間の条件」</span>
ghulamzakria/Shutterstock.com

AIに生前の電子メール・カレンダー・ネット上のメモを共有すれば「デジタル・クローン」が生成され、死後も会話ができるようになる──。世界のAI企業が夢見る「ユートピア」は、すでに現実となりつつある。その最前線であるシリコンバレーを現地取材した。

亡き父をAIで「再現」した息子

「〇〇(息子)やお前、みんな元気にしているか」

 画面に映る老父が、iPadをのぞく妻に語りかける。

「えぇお父さん。元気ですよ。〇〇(息子の名前)も」

「それはよかった。嬉しいなぁ」

 一見すると、夫が妻とビデオ通話で雑談をする、ありふれた場面に思える。だが、妻が話しているのは、数カ月前に亡くなった夫のデジタル・クローンなのだ。

 不思議なのは、この男性の声にAIのような人工性も感じなければ、会話内容もその人固有のものに思える点だ。声の抑揚は老年男性(しゃがれ声)に特有のものに聞こえるし、息子の名前もはっきりと認識している。プライバシーの関係でその後に続く会話は紹介できないが、女性の語りかける言葉に対して、文脈を受け取った上で応答している点も印象的だ。

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