<span>AIに頼るばかりの「医師」が増えた時、医療現場に何が起きるのか</span>
(Andy.Illustrator/Shutterstock.com)

画像診断では、AIがすでに人間を上回る能力を見せる、と言われる。2040年には病気を発見するだけでなく、診断を下すことさえ技術的には可能になっているという。では、医師という仕事はAIに奪われてしまうのか。医療の未来に詳しい医師の奥真也氏は、「医師の仕事のかなりの部分はAIに奪われる」と予測する。一方でAIへの依存が進むことで、自分で判断できない医師が増える危険性もある。2040年、医師に残される仕事とは何なのか。

AIによる画像診断は、すでに人間を超えている

 CT画像などの診断において、AIの診断の精度はすでに人間を上回っています。実際に日本で行われたある調査では、AI画像診断ソフトウェアの開発段階において、AIが「脳動脈瘤」、脳の動脈の一部が風船のように膨らんでしまう現象を見つけた割合は約77%に達し、人間を約10ポイント上回りました。画像診断はAIにとって比較的取り組みやすい領域であり、診断の正解・不正解のデータが取り込まれていくことで、AI診断の精度はますます上がっています。

 特に脳は、AIが強い分野の一つです。なぜかというと、脳の形はみんな決まっているからです。たとえばお腹の中を見ると、腸や肝臓がどこにあるかは人によって少し異なります。一方で、頭骸骨の中は数学的な変換、つまり縦横の倍率を調整するだけで、すべての人の脳がぴったり合わせられるほどバリエーションがありません。バリエーションがない臓器のほうがAIは異常を見つけやすい。脳腫瘍や脳内出血などもこうしたAI診断の得意とする分野になります。

 またAIが人間より際立って優れているという意味では、ごく初期のがんのように、人間の目では気づけないような微細な違いを発見するケースが挙げられます。体の部位を問わず、そういった早期の発見や再発の発見、手術で腫瘍を取り切れていたかなどの診断にAIが貢献しているのは間違いありません。

 加えて、画像診断の機器自体も進化しています。私が医師になったのは約40年前ですが、当時は1枚ずつ写真を撮り、診断に使用する脳やお腹のCT画像は十数枚でした。それが今では短い時間で数百枚も撮れるようになっています。コンピューター上で縦切り・横切りしたり、3次元で再構成したりすることもできます。画像の量も増え、質も格段に高くなっており、AIを使用することで診断の正確性も上がっています。

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