<span>税収が減っても債務比率は暴発しないのか 財政運営のパラダイムシフトへ一つの可能性</span>

政府は8月5日の臨時閣議において、飲食料品の消費税率を来年4月からの2年間に限り、現行の8%から1%に引き下げる方針を決定した。しかし、消費減税については、多くの経済学者がアンケート調査などで反対を表明。小林慶一郎氏も政策として「筋が悪い」と指摘する。改めて小林氏が消費減税を3つの論点に整理するとともに、東京大学の中嶋智之教授との共同研究から導き出した財政運営についての新理論と、それがもたらすかもしれないパラダイムシフトについて解説する。

消費減税の3つの論点

 まずは、消費減税をめぐる論点を3つに分けて整理したい。

①財政不安はインフレを加速する効果がある

 消費減税によって財政の将来への不安が高まれば、インフレが加速するかもしれない。いま2%前後のインフレが3%になれば、ざっと2年半で7%の減税分を帳消しにする計算となってしまう。食料品の値下げ分が消えるだけでなく、食料品以外はインフレが加速し値上がりするので、物価高は一層、深刻になる。もともとは物価高対策として生活苦に苛まれる中低所得者を救うのが目的だったはずである。今回の消費減税では、その効果は薄く、また、食料品以外の分野では逆効果となるリスクがある。

②消費減税で、2年間で10兆円の税収が減る

 消費減税の財源について、高市政権は「新規の国債発行によらないで10兆円の財源を別のところから捻出する」と言っている。その財源がはっきりしないことが批判されているが、本質は別にある。

 仮に10兆円の財源が無事に見つかったとしよう。本来、消費減税がなかったとするなら、それを債務の償還に回せたのに消費減税の財源に使ったということは、すなわち、国債残高を10兆円減らせたのに減らさなかった、ということになる。減らせた国債を減らさなかったという意味では、将来の国民に10兆円のつけを回すことと同義となる。

③利上げとの関係

 消費減税のロジックは以下のような発想といえる。

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