総裁候補らの判断は
秋の人事における注目点は「ポスト高市」を目指す総裁候補らの動向だ。党執行部・閣内に残留したまま来年の総裁選に出馬することは、「首相・総裁に弓を引く行為」として忌避する流れがある。一方で出馬のためにポストを固辞すれば、安倍晋三元首相が石破茂前首相を徹底的に「干した」ような扱いを受ける恐れもある。
注目が集まるのは、高市氏と総裁選の決選投票を争った小泉進次郎防衛相だ。閣内では抜群の知名度を持ち、防衛相就任後は目立つ機会も多い。小泉氏は自身のグループは持たないものの、引退した菅義偉元首相に近い無派閥議員のグループ「ガネーシャの会」には、小泉氏を中心とした枠組みに移行しようとする動きが水面下で起きている。
同会が5月に会合した際には結論は出なかったものの、その場には菅、小泉の両氏も出席しているのも注目点だろう。
「コバホーク」こと小林鷹之党政調会長も「ポスト高市」の筆頭格だ。高市氏と同様に保守色が強く、高市氏肝いりの「国旗損壊罪」などの実現にも尽力。将来的には「後継指名」される可能性もある。政調会長として党内議論を主導する手腕への評価も高く、現在は地方行脚を精力的にこなし、知名度向上に力を注いでいる。一方で、財務省出身ということもあり、政策面で意見が食い違うこともあるため、高市氏からは煙たがられ、首相との面会も十分な時間をとってもらえないとされている。
ただ、小泉氏は45歳、小林は51歳と若く、来年の総裁選出馬にこだわる必要はない。党内は「二人はいつかは総裁になるだろう。あえて来年の総裁選で冒険する必要はない」と、続投を予想する観測が飛び交う。
高市氏と同い年の林芳正総務相は6月にあった島根県の会合で「志を持ち続けていきたい」と述べ、総裁選出馬への意欲をにじませた。党内でも幅広く議員らに声をかけ会食するなど、地盤固めにも余念がない。首相周辺は「総務相留任を打診されても、来年の総裁選への準備を理由に断るだろう」と述べた。
側近の「野心」
ほかのポスト高市候補はどうだろう。高市政権発足後、閣内で存在感を高めているのが片山さつき財務相だ。この間、歯に衣着せぬ物言いでSNSを中心に人気を集め、衆院選の際には応援弁士として引っ張りだこで、党関係者は「以前は頼まれてなくても応援に押しかけて目立とうとするようなタイプだったのに、今や人気弁士の一人になるとは」と驚きを隠さない。
そんな片山氏は衆院選後、自身の名前を冠した「さつき会」という政策勉強会を立ち上げた。名目は高市政権の政策の深掘り。会合場所は赤坂の衆院議員宿舎の会議室で夜に集まることが多い。新人議員にも幅広く声をかけているという。
会合では片山氏から「今の成長戦略では不十分だ」と政権への注文ともとれる発言も飛び出したという。財務省関係者によると、片山氏は経済財政担当相が担う骨太の方針や成長戦略を、財務相の担当に付け替えるように高市氏に進言。自身の続投とともに、権限の強化を狙っているとみられる。
片山氏を古くから知るベテラン議員の一人は「自身は参議員ながら衆院の宿舎で会合するところが片山氏らしい皮の面の厚さだ」と苦笑した上で、「野心家でもある。内閣における存在感を高めた上で、首相の座も視野に入れているのではないか」と指摘する。