「ビジョンの欠如」
横浜市の山中竹春市長(53)が市の幹部職員らに対するパワハラ問題の責任を取って辞職表明したのは8月28日。以降、市長選へ向け、各派とも慌ただしい動きを見せる中、機先を制したのが自民党である。
9月2日には、企業法務などに携わる弁護士の原沢敦美氏(59)の擁立を目指し、すでに党内調整に入っていることが報じられたが、
「前市議会議長が彼女に白羽の矢を立て、横浜商工会議所など地元経済界に働きかけて、一気に決まった。コンプライアンスやハラスメントの専門家であることから、前市長と一線を画し、パワハラ騒動を払拭するには最適の候補者だと考えられたのです」
こう話すのは、内情を知る自民党関係者だ。続けて、
「川崎汽船や東横インなどの社外取締役を務める原沢さんに対する財界からの評価は高く、選挙戦への資金拠出にもすんなり応じたそうです。ちなみに彼女は2018年に予備自衛官となり、実際に被災地などでの活動経験もある。保守層の支持も見込める逸材ですよ」
その原沢氏は東京都出身。3歳から横浜で暮らし、1989年にはミス横浜に選ばれたことも。92年に慶應大学大学院理工学研究科修了後、技術系総合職として日本航空(JAL)に入社すると、羽田の整備工場で整備士として勤務。JALには12年間在籍し、その間、女性として「日本で2人目」となる一等航空整備士の資格も取得したという。弁護士となったのは2009年、彼女が41歳の時である。
自民党横浜市連と国民民主党神奈川県連が推薦を決定したほか、日本維新の会や公明党も支援する方向で検討中とされる。「広範な組織票を有する唯一の候補として“原沢一強”は揺るがない」(同)と陣営側は強気の構えだ。
他方、横浜市議(自民党系)の一人はこんな不安を口にする。
「実際に彼女と面会した市議によれば、“市長になったら何をしたいのか?”と尋ねたところ、“市議や市職員の皆さまと相談しながら考えていきたい”との答えが返ってきたといいます。“横浜市長としてこれをやりたい”という政策はまだ描けていないようで、政治経験のない点と合わせ、“ビジョンの欠如”を突っ込まれると今後、劣勢に立たされる局面も増えてくるのでは」