「とにかく他人に厳しい」
簗氏が冷徹にも発したその言葉に、居合わせた人たちの誰もが耳を疑った。
「(栃木県)那須烏山市と那珂川町の令和8年度の道路予算については、大幅にカットをしました」
5月24日に非公開で催された自民党大田原支部の総会。閉会後の懇親会で数十名の自民党員らを前に挨拶した際の発言である。
会場がどよめく中で、簗氏は続けた。
「自民党の議員に頼っていくらの予算が必要だというところに、多く回すのが当たり前の話ですから」
音声データには党の役職を笠に着て役人を呼びつけ、予算減らしを指示したと受け取れるくだりもある。
「私は今ですね、筆頭副幹事長(当時)という立場になってですね。“幹事長室にちょっと来てくれ”と言えば、こんなことができるんですね」
地元の意向に構わず権力を用いて予算を削った、そしてそれが当然だと誇って見せるこの人物が、いまや農水行政を統べる大臣の座にいるのである。
簗氏は東京都の生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、東京大学大学院で経済学の修士号を取得した。代議士秘書などを経て、2012年の総選挙で栃木3区から出馬。みんなの党代表(当時)の渡辺喜美氏に敗れるも比例復活で初当選を果たす。以降、現在まで当選6回。国土交通大臣政務官、文部科学副大臣、党農林部会長などを歴任している。
「簗氏は農業政策に明るく、昨年の総裁選では同じ栃木県を地元とする茂木敏充氏の陣営に身を置きながら、高市氏に農政をレクチャーした。今年2月の総選挙で首相が栃木3区に応援演説で訪れた際、簗氏を“私の知恵袋のやなちゃん”と紹介する場面も。旧安倍派出身で裏金議員でもある簗氏の大臣起用は世論の反発を招く懸念もありましたが、首相が一本釣りした格好です」(政治部デスク)
だが、芳しくない評判も。
「簗氏はとにかく他人に厳しい。まだ元号が平成だった頃、私が地元事務所で秘書として働き始めた時点で、すでに20人近くの秘書が辞めていました」
と語るのは、元秘書の男性である。
「人格を否定するような言葉で人を責めるんです。私自身もパワハラを受けたことがあります。ある案件について、“あれはこうしていいですか?”と何日も前から確認しても一向に返事がない。時間的な都合からやむを得ずこちらの判断で処理すると“なんで勝手なことをするんだ!”と怒鳴られました」(同)
別の元秘書の男性も、かつての職場のブラックさについてこう語る。