<span>800字の文章を読めるのは「3人に1人」――PISAが示した日本の「15歳学力」と「OECD1位」という大いなる矛盾</span>
写真:s880/shutterstock.com

先ごろ、世界各国の15歳を対象にOECDが実施する学習到達度調査「PISA」の2025年調査の結果が公表された。今回、日本は初めて、OECD加盟38カ国中「読解力」「数学的リテラシー」「科学コンピテンシー」の3分野すべてで1位を獲得した。だが、PISAの出題と結果を細かく読み解くと、OECDトップの日本ですら15歳の生徒5人のうち2人は問題文の簡単な日本語を理解するのに困難を抱えているという事実が浮かび上がってくる。

PISAとは何か

 これまで3回にわたって、OECDが実施しているPIAAC(国際成人力調査)について述べてきた。それをまとめるなら、「日本人の3人に1人は日本語が読めない」し、「満足に日本語が読めるのは4人に1人しかいない」が、それでも日本人の成人スキル(リテラシー)は世界でトップクラス、になる。

 それに対してPISA(Programme for International Student Assessment)はOECDが3年ごとに実施している(2025年以降は4年ごと)義務教育終了段階の15歳の生徒の「学習到達度調査」で、日本では中学3年生に相当する子どもたちの「知能や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるか」を測ることを目的にしている。

 PISAは2000年に第1回調査が行なわれたが、PIAACの開始は2011年で、こちらはおよそ10年に1回行なわれる。両者の出題内容は異なるが、どちらも入学試験のような選抜のためではなく、現代の知識社会で必要とされる実践的な知識やスキルを保有する国民の割合を知ろうとしている。

 PIAACがほとんど話題にならないのに対し、PISAの結果はメディアで大きく報道される。2003年の調査で読解力の国際順位が大きく下がって、OECD内順位で12位(全参加国・地域では14位)になったのが「PISAショック」で、その後の日本の教育改革(とりわけ読解力の強化)に大きな影響を与えたとされる。PISAの2025年調査の結果が今年9月に公表されたときも、新聞の1面で大きく報じられた。

 PISAの調査分野は「読解力」「数学的リテラシー」「科学コンピテンシー(以前の科学的リテラシー)」の3つで、今回はそれに「ラーニング・イン・デジタルワールド」が加わった。

 コンピテンシー(competency)はビジネスにおける人材活用で使われる用語で、優れた成果を出す個人の能力や行動特性をいう。科学コンピテンシーは、たんなる科学知識ではなく、「現象を科学的に説明する」「科学的探究のための計画を構築し、評価し、科学的データと証拠を批判的に解釈する」能力とされる。一方、「ラーニング・イン・デジタルワールド」は、デジタル・テクノロジーに適応し、「ICTを活用した自律的な学習(自己調整学習)のプロセスを通して、問題解決し、その中で新しい知識を獲得する」能力と定義されている。

日本の15歳学力は世界トップレベル

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