格差解消の最適解は
世界を見渡すと、「格差拡大」という人々の生活への不満が、ポピュリズムや右傾化といった政治的な不安定性を生んでいる。こうした政治的な不満によって、法の支配など自由な市場経済を支える制度の基礎が食い破られようとしているのが、欧米のみならず日本を含む多くの先進国が抱える共通の問題である。
自由な経済社会を守るためにも、格差は是正しなければならないが、市場の自由競争では、その格差は縮まらない。格差是正のためには、なんらかの形で政府の介入が必要だと多くの専門家や研究者が考え始めている。
かく言う私自身も、本来は自由な市場経済を維持し、社会の自由の度合いを高めていくことが理想だと思っているが、人々の自由を支える枠組みそのものが「格差拡大」によって掘り崩されるのなら、それを防ぐために政府が介入することは認めざるを得ないと考えている。
では、政府による介入はどのような形が望ましいか。左派の考え方では、直接的な再分配政策で格差を是正すべきという主張になる(米国の急進左派の「民主社会主義者」のように)。しかし、再分配の強制は計画経済的、統制的な政治姿勢につながり、かえって危険である。なぜなら、直接的な再分配はファシズムや共産主義といった、自由を脅かす政治思想に親和的だからだ。
共産主義や計画経済が格差解消の最適解にならないことは、歴史が証明している。しかし、改めてここで強調しておきたい。なぜなら、政治指導者や政府の官僚組織の限られた能力では、経済全体を過不足なく統制して差配することはできず、その結果、より深刻で悲惨な事態を引き起こしてきたからだ。