学校選びのポイントは「子供が楽しめる場かどうか」
いま全国で中学受験をする小学生は5万人を超える。特に首都圏を中心に、小学校受験や中学受験といった早い段階での受験を経験する子どもが増えている。3人の子育てを経て、家庭教育コンサルタントとして8000人以上の親と向き合ってきた岩田かおり氏は、自身の子育てにおいて「進路選択」とどのように向き合ってきたのだろうか。
「私が進路選択で最も大事にしているのは、子どもがその学校に通って楽しめるかどうかです。偏差値の高さや大学進学の実績、『こんな学びができてお得だから』といった理由よりも、楽しんでいる姿が想起できるかどうかを重視します。そのためには、子どもと一緒に学校を見学した時の感覚を大事にしてほしいと思います」(岩田氏、以下同)
岩田氏の子どもたちは、三者三様のチャレンジを続けている。第一子は中高一貫校に進学し、その後は学費全額免除の奨学金を使いアメリカの大学へ。第二子は高校まで塾や予備校に通うことなく、慶應義塾大学に合格。第三子は探究学習に力を入れる中高一貫校に入学し、そこで出会った仲間たちと起業を経験。昨年、経団連(日本経済団体連合会)が派遣するUWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)に選抜され、高校2年生の途中からはインドの学校に通っている。
岩田氏はこうした経験から、「家庭環境は同じでも、子どもの個性や関心によって合う学校は異なる」と実感しているという。
価値観や条件から親が選択肢を絞り、子どもが自ら選ぶ
現在は学校の多様化が進み、「探究的な学び」を大事にしたり、「グローバル教育」に力を入れたりと、進学先にも多様な選択肢がある。その中にはプレゼンテーションやグループワーク、ものづくりなど、知識の暗記量や計算の速さなどを測る学力試験ではない「思考力入試」で選考する学校も登場してきた。こうした多様な学校が増えたなかで、親は子どもの学校選択をどのようにサポートすればよいのか。
「何より、子どもが楽しめる学校を選べればいいのですが、中学受験も高校受験も、なかなか子どもだけで決め切れることが少ないのが実際のところでしょう。そこで、私は子どもたちに3、4校の選択肢を提示するようにしました」
3、4校の選び方について聞くと、
「仮に子どもが楽しく学べそうな学校が見つかっても、学校までの距離や家庭の状況など、物理的に通うことが難しいケースもあるでしょう。例えば、第一子の中学受験の際、私は起業前のタイミングで、下に小さな子どもが2人いる状況でした。そうなると、高い学費は払えませんし、送迎もできないので子が自力で通える範囲で学校を選択する必要がありました。このように、どんな家庭も踏まえておかなければいけない前提条件があるはずです。また、親にはそれぞれ『こんな学校がよいのではないか』という自分自身の価値観があると思います。私は子どもが自分の頭で考え、個性を発揮し、社会で生き抜く力をつけられるようになってほしいと考えていたので、そうした学びを大事にする学校を優先して選んでいました」
気になった学校が見つかったら、実際に見学に行って相性を見極めることも大事だが、近頃は「見学疲れ」している保護者も多いと岩田氏は指摘する。
「毎週末、子どもをあちらこちらの学校見学に連れていき、クタクタになっているお父さんやお母さんにお会いすることもあります。さながら、朝食にお寿司を食べて、昼食にステーキを食べ、夕食に焼肉を食べて、どれが美味しかったかわからない……といった状態です。心に余裕がない状態では、大事な決断はできません。もちろん実際に学校を見て子どもとの相性を確認することは大事ですが、闇雲に見学に行く必要はないと思います」
親にできることは、マイナスの影響を与えないこと
「子どもの受験に対しては、親は大なり小なりパニックになるもの」と岩田氏は続ける。中学でも高校でも大学受験でも、親が抱える悩みは共通のものがあるという。
「私が12年間欠かさず開催している子育て座談会でも、受講生である親御さんは子どもの受験のことを語るとき、みんな『どこか息苦しい……』『ソワソワしている』と話します」
親はこの「落ち着かない感情」とどう付き合っていけばよいのだろう。