<span>回転寿司・外食チェーンの「中国産食材」 全272メニュー総点検「実名リスト」</span>
回転寿司各社が頼るのは、かの国だった(Kwangmoozaa/Shutterstock.com)

日本の外食産業は35兆円超の市場規模を誇る。群雄割拠でコストカットにしのぎを削る各社が頼るのは、やはりかの国だった。今回、本誌が取りあげるチェーンで中国産食材が使われたメニューの数は272にも及ぶ。それらをまとめた「実名リスト」で判明した事実とは。

外食産業では、食材の原産地を消費者に知らせる義務はない

 水揚げされた魚が、屈強な漁師たちによって勢いよく運ばれていく。丸々と肥えて、いかにも脂がのっていそうなのはマグロだろう。

 そんな漁船のポスターが貼られた回転寿司店では、老若男女がマグロに舌鼓を打っていた。

 だがしかし、その人気メニューが実は「中国産」だと知る客は、どれほどいるのだろう。メニュー表を見る限り、旬のサンマ握りなどに「国産」を示す表示は確認できたが、マグロの産地が“かの国”とは積極的に書かれていなかった。

 そもそも国の「加工食品の原料原産地表示制度」には、設備を設けて飲食させる場合は原産地の表示は必要ないとの記述がある。外食産業では、食材の原産地を消費者に知らせる義務はない。そう言っているに等しいのである。

 これは物価高に加えて、人件費の高騰に苦しむ外食チェーン各社にとっては朗報に違いない。他社との熾烈な競争で少しでも利益を上げたいとなれば、国産よりも安価な輸入食材を仕入れることが最適解。「中国産食材」を頼るのは誰しもが考えるところだろう。

 白菜やタケノコにおける違法な加工が発覚して、中国産食材への懸念が再燃する中、気軽に立ち寄れる街角の外食チェーンでは、どれほどの中国産食材が使用されているのか。

 そこで本誌は、回転寿司をはじめ大手の外食チェーン24店を対象に、どれだけ中国産食材を使用しているか調査を行った。結論から言えば、実に272ものメニューで中国産の使用が確認されたのである。

 詳しくは「実名リスト」をご参照いただきたいが、調査に際しては各チェーンを運営する企業に「中国産食材」を使用する品名全てと、具体的な食材を尋ねた。詳細な回答を寄せなかった企業については、本誌が公式ホームページを確認して主なメニューを掲載している。

 まずはじめに回転寿司チェーンでは、冷凍の魚介類を解凍して寿司ネタとして使うことが多いという。

 売上高で業界1位のスシローは、「厳選まぐろ赤身」をはじめとして「ねぎまぐろ軍艦」「鉄火巻」など11品目で一部中国産の「まぐろ」を使用していた。続くくら寿司、はま寿司、かっぱ寿司のマグロはといえば、ウェブサイトを見ると一様に「太平洋」「大西洋」などと、漁獲されたであろう「海域」を表示している。

 これでは一見、中国産マグロを使っているのはスシローだけのように思えてしまうが、実態は異なるかもしれない。

 水産コンサル会社「FiskJapan(株)」代表取締役で東京海洋大学特任教授の片野歩氏が言う。

「マグロの原産地が『中国』と記載されていても、中国船が漁獲したものなのか、それとも他国の船が漁獲して中国で加工されたものなのか判然としません。『太平洋』『大西洋』『インド洋』と表示されていても、その海域で漁獲されたマグロが、中国に運ばれて加工されている可能性は十分にあると思います」

 どうにも釈然としないが、その原因は、前述のように外食産業の情報公開のあり方に、法的な基準が課されていないことに尽きる。

「水産物の原産地表示については、専門家である私でさえ非常に分かりにくいと思っています。消費者が本当に知りたいのは、魚がどこで獲れて、どこで加工されたのかということ。本来ならば、それぞれを分けて表示すればよいのに、必ずしもそうなっていないのです」(同)

 改めてマグロの具体的な産地と加工場を各社に尋ねると、スシローは「船籍地を原産国として記載」として、加工場については回答を得られなかった。くら寿司は「『熟成まぐろ』は主に国産」、はま寿司は「全体の割合から少数」としながらも、中国で水揚げ、加工したものも一部含まれるとした。かっぱ寿司は期日までに回答はなかった。

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