特集|社会

Vol. 8

世界的チェーンのスイーツに気を付けろ カフェ・居酒屋・ファストフード・外食の「中国産食材」全174メニュー総点検「実名リスト」

2026年10月27日


<span>世界的チェーンのスイーツに気を付けろ カフェ・居酒屋・ファストフード・外食の「中国産食材」全174メニュー総点検「実名リスト」</span>
スターバックスの人気メニューでも……(VTT Studio / Shutterstock.com)

行楽の秋で外食の機会が増えれば、安心安全な食材を口にしたいと誰もが望むだろう。だが、今回本誌が取り上げるカフェなどのチェーンで、中国産食材が使われたメニューの数は174にも及ぶ。店舗別「実名リスト」から読み解く知られざる実態をご紹介したい。

「中国産です……」と渋々認める企業も

 大漁旗が掲げられた店内の生け簀では、活きの良さそうな青魚が泳ぎまわる。

「活鯵の姿造り」「活貝盛り合わせ」などのメニューが書かれた札の上には、日本の漁船や漁港などで撮影されたと思しき写真が並ぶ。漁師たちが網にかかった魚を引き上げる様を見れば、店内で提供される食材も産地直送、日本近海で獲れたモノだと信じてしまう。

 都内を中心に店舗を展開する居酒屋チェーン・磯丸水産は、新鮮な魚介類を各々のテーブルで網焼きできる店として人気を集める。

 だが、扱うメニューに中国産があるのか否かを本誌が尋ねると回答は寄せられず、ホームページにも産地についての詳細はなかった。

 ホルムアルデヒド漬けの白菜をはじめ、タケノコなどにまで違法な加工が発覚。中国産食材への懸念が再び高まる中、本誌は前号で野菜のみならず回転寿司チェーンのマグロから海苔、ガリにまで、中国から輸入された食材が使用されていることを報じた。

 そこで本誌は今回、居酒屋からカフェ、ファストフードなどの大手チェーン28ブランドに対象を拡げて、メニューに中国産食材を使用しているかを調査した。

 詳しくは「実名リスト」をご参照いただきたいが、調査に際しては各チェーンを運営する企業に、「中国産食材」を使用する品目全てと、具体的な食材を尋ねた。詳細な回答を寄せなかった企業については、実店舗やホームページなどを確認。判明したメニューを可能な限り掲載している。

 冒頭の磯丸水産のみならず、居酒屋チェーンでは魚民も無回答だった。中国産食材の使用を認めながら、詳細は差し控えると答えた串カツ田中も、ウェブサイトに産地の記述はなかった。

 対照的なのは、広報担当者が口頭で対応した鳥貴族である。主力メニューの焼鳥から野菜まで国産にこだわり、中国産食材の使用は「おろしのわさびだけ」だと明かした。同じく各種のメニューに中国産食材を使っていることを丁寧に回答した養老乃瀧と比べても、無回答のチェーンには後ろ暗いことがあるのではないかと疑ってみたくもなる。

 すでに安価なものは中国産だと知れ渡る鰻料理のチェーンでも、情報公開の姿勢は明暗が分かれた。

 鰻料理が自慢の名代宇奈ととは、メインメニューの鰻はもとより、一部店舗の柴漬けまで中国産であると回答した。

 一方、この数年で店舗数を急拡大してきた鰻の成瀬は、運営会社に何度も問い合わせたが「担当者に伝える」と言うだけで回答はなかった。そこで本誌が都心にある店舗を訪ねたところ、メニューの中で最も値の張る〈数量限定〉の鰻重や蒲焼きだけ〈鹿児島県産〉だと明記していた。その他の鰻重には産地の記載がないため店員に尋ねたところ、「中国産です……」と渋々認めたのだった。

 麺にこだわり、店内放送で“材料は粉と水だけ。保存料、調整剤などは一切使用しておりません”“皆様の健康のお役に立てれば幸いです”とアピールする蕎麦チェーンのゆで太郎も「無回答」だった。

 そこで都心にある店舗に足を運ぶと、トイレに向かう通路上にタマネギの入った段ボール箱が無造作に置かれていた。表書きには「中国産」とあり、扱う輸入業者の名前まで記載。この業者を調べると、2024年と25年に輸入したタマネギが食品衛生法違反だとして、厚生労働省から注意喚起を受けていたのだ。

 改めて確認した事実を運営会社に問うと、タマネギに関しては「中国産です」と回答したが、その他の食材については言及を避けた。

抹茶生産量は、中国が日本の倍以上に及ぶと推定される

 中国産食材とは無縁に思えるカフェやコーヒーチェーンでも無回答が目立つ。

 スターバックスは業界最大手だけあって、ホームページで原材料の産地を公開。人気メニューである「抹茶クリームフラペチーノ」の抹茶が中国産だった。

 宇治をはじめ国産のイメージが強い抹茶だが、今や中国では官民挙げて「我が国こそが発祥の地」だと日本に対抗意識を燃やしているという。実際、中国共産党の機関紙『人民日報』では、25年の中国の抹茶生産量が全世界の7割にも達したと報じて胸を張る。

「中国産抹茶が台頭してきたのは、ここ数年です。大手のカフェチェーンなどで使われるようになったのには、世界的な抹茶ブームが背景にあります」

 とは、静岡県立大学特任教授の中村順行氏だ。

「抹茶のラテやスムージーが欧米でも飲まれるようになり需要が急速に伸びています。スターバックスはブームの火付け役の一人と言えるでしょう。そうした需要に日本産だけでは応えられなくなり、大量かつ安価で安定供給できる中国産が使われています」(同)

 昨年の日本の抹茶生産量は5000~7000トン程度だったが、今年の中国における抹茶生産量は1万2000トン超。日本の倍以上に及ぶと推定されている。

「これまで日本産の抹茶が市場の価格形成に大きな影響力を持っていましたが、今後は難しくなると思います。日本は後継者不足に加えて茶園面積も少なく、急速に煎茶から抹茶生産に変えることができません。中国は大規模栽培による生産、さらに加工工程も日本とは異なるため生産コストを抑えられます」(同)

 抹茶と同じくファストフードチェーンで多用されるのが、中国産リンゴだ。マクドナルドのホットアップルパイのほか、ミスタードーナツやサンマルクカフェでは、アップルジュースに中国産を用いていた。

 弘前大学農学生命科学部教授の成田拓未氏に聞くと、

「昨年度、日本で消費されたリンゴは98万6000トンですが、約4割を輸入に頼っています。これだけの消費量を国産で賄おうとしても、まったく足りません。対する中国は、全世界のリンゴ生産量約1億トンのうち半分ほどを占める世界最大の生産国です。国土が広く栽培面積も大きいので価格が安い。日本の生産者は60代から70代が大半で、その人たちが今後リタイアすれば、その分だけ栽培面積も生産量も減っていくと考えられます」

 抹茶同様、リンゴでも国産がパイを奪われつつあるのだ。外食チェーンが様々な事情から中国産食材を使う現実を前に、それを口にするもしないも消費者の自由である。そうした選択を手助けする上でも、企業が食材の情報を伝えるのは最低限の務めではないだろうか。企業の姿勢がわかる「実名リスト」が、店を選ぶ際の一助になれば幸いである。

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