政治

新生シリア、莫大な負の遺産を継ぐ国家再建のリアル(上)――シャラア政権を縛る過激なイスラム主義と国民の相互不信

2025年6月15日

シリアでアサド政権が崩壊し半年余りが経過した。トラウマや不信、疲労という“廃虚以上”の重荷を背負うと語ったシャラア暫定大統領は、中東の政治的動乱の中心地に一定の秩序を築きつつある。だが、アサド時代の苛酷な支配は社会の分断を異様なまでに肥大化させた。新政権の治安機関や過激なイスラム主義者によるマイノリティの大量虐殺が発生するなど、社会の再統合の行方はなお予断を許さない。

 5月13日から16日にかけてドナルド・トランプ米大統領が行った中東湾岸諸国訪問の最大のサプライズは、シリアに対する制裁の解除決定であった。

 ムハンマド・サウジアラビア皇太子が、この決定を満面の笑みと拍手で迎えた。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領もトランプ大統領に直接電話し制裁解除を求めたのである。そしてアフマド・シャラア暫定大統領がトランプ大統領と面会まで果たしたことは、シリア新政権発足後、新政権にとって最大の成果であった。

 シリアの安定を希求するサウジやカタールといった湾岸諸国から見ても、米国による複雑な制裁の前には、シリア復興はほとんど不可能であったからだ。もちろん、この制裁解除決定に沸き立ったのはシリア人たちである。首都ダマスカスの中心部では夜通しこれを歓迎する喜びが炸裂した。

 ところが、その翌週の米国上院外交委員会でのマルコ・ルビオ国務長官のシリア情勢に関する指摘は、そのような前向きな雰囲気を一気に冷ますこととなった。米国政府の分析によれば、シリアの潜在的な崩壊、あるいは全面的な内戦は、数カ月以内ではなく数週間以内にも発生する可能性があると述べたからだ。……

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