郵政民営化の趣旨から逸脱――「公金投入」「株式保有義務化」の問題点
改正郵政民営化関連法が6月19日、参議院の本会議で可決され成立しました。今回の郵便局をめぐる法改正で注目のポイントは大きく二つです。一つ目は政府が日本郵便に対して来年度から年間約650億円の公金を投入すること、そして日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式の3分の1超えを当分の間保有するように義務付けることです。
まず一点目の公金の投入について、これは本当にとんでもないことです。民間企業として運営されている日本郵便に公金を入れることは、民営化の理念とかけ離れています。今回の法改正はいわゆる「再国営化」するということ。それは国民にとって郵便局が必要不可欠なものであると国が考えているということを意味しますが、果たして国民は郵便局ネットワークの維持を求めているのでしょうか。郵便局を日常的に利用するという人は多くないでしょう。自治体の機能を代替するなどの話もありますが、実際に自治体関係者に聞くと「郵便局にお願いするような仕事はありません」と言います。地方の方からは「郵便局よりもコンビニエンスストアがほしい」という声を耳にします。
当初は民営化されたゆうちょ銀行やかんぽ生命からの資金を日本郵便の赤字の補填に充てていましたが、そうした財源だけでは維持できなくなり、ついに公金を注入するという話になりました。10年くらい前から、再度国営化しないと郵便局がもたないというのは、自民党のある幹部も言い続けていました。彼らがそういう方向を狙っているとは分かっていましたが、ここまで露骨に税金を投入し、なおかつメディアでもほとんど取り上げないままに法案が成立することになるとは思いませんでした。国会で自民党が圧倒的多数を握っているから成立したものの、本来そこまで簡単に通るような法案ではありません。