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キューバは攻撃もディールも“高く”つく――「コンソーシアム国家」のレジリエンス

2026年7月27日


<span>キューバは攻撃もディールも“高く”つく――「コンソーシアム国家」のレジリエンス</span>
革命指導者の権威も依然として保たれている[キューバ当局の呼びかけた政府支持集会でカストロ元国家評議会議長の写真を示し米国に抗議する参加者=2026年5月22日、キューバ・ハバナ](C)REUTERS/Norlys Perez

深刻な物資不足が続くキューバ経済が崩壊しているのは間違いない。ただし、現体制が政権を投げ出す、あるいは民衆蜂起による政権転覆といったシナリオは、まず見込みがないだろう。「キューバを手に入れる」と喧伝するトランプ大統領が動くのはディールか軍事オプションか。そのいずれを選ぶにせよ、「コンソーシアム」とも称されるキューバ独特の権力分散が壁になる。

 第2次トランプ政権は世界を揺るがし続けているが、中でも中南米に対しては政権発足当初から立て続けに強圧的な行動をとってきた。中南米からの麻薬運搬船を公海上で攻撃、パナマの港湾管理から中国企業を締め出し、ベネズエラを攻撃してニコラス・マドゥロ「大統領」を拘束。そしてドナルド・トランプ大統領自身が「キューバを手に入れる」と公言してはばからない。イラン対応で一息ついたら、ベネズエラという成功体験のある中南米で得点を狙うのではないかという観測が飛び交っている。
アメリカは新たな戦争に乗り出すのか、社会主義・親中露のキューバが陥落して中南米の親米化が進むのか、キューバで成功すればトランプ大統領は次なる標的に触手を伸ばすのか、そして国際秩序はさらに脆弱になるのかなど、キューバで起こり得る事態は、国際情勢を占う上で大きな意味を持つ1

歴代大統領の果たせなかった「偉業」

 そもそもアメリカはなぜキューバに固執するのか。第1の理由は地政学的考慮だ。キューバはアメリカから僅か150キロの距離にある反米・社会主義政権であり、中国・ロシアの通信傍受基地を置くなど両国の浸透が際立っている。2025年の国家安全保障戦略で西半球での優越的地位と域外勢力の排除を謳うトランプ政権がキューバを目の敵にするのは、歴代米政権の一貫した戦略でもある。

 加えて、1959年のキューバ革命後にアメリカに逃れてきたキューバ系アメリカ人は政治力が強く、キューバ社会主義政権の転覆を強く望んでいる。アメリカはまた、キューバ革命時に接収されたアメリカ企業やアメリカ人の財産の補償を求めている。アメリカはバラク・オバマ大統領を除く歴代政権そして議会も数々の経済制裁法を制定するなど、キューバの体制転換を目指してきたが、キューバの体制も反米政策も微動だにしていない。トランプ大統領にとりキューバを屈服させるのは「歴代大統領の果たせなかった偉業」という意味もある。

 もっともアメリカのキューバ政策については、アメリカ国内に様々な思惑があることに留意する必要がある。国防関係者は地政学的考慮を重視する。トランプ大統領はベネズエラと同様に、キューバの体制転換よる経済的利益の獲得を優先しているとの観測もある。マルコ・ルビオ国務長官(自身がキューバ系二世である)の支持層であるフロリダのキューバ系米国人にとっては、中露の影響力排除や経済開放よりも革命政権転覆こそが父祖伝来の悲願である。

 そのアメリカ政府は今、キューバへの石油供給停止などの過酷な経済制裁を梃子にして中露との関係縮小や対米補償の他、キューバの経済自由化・開放、政治犯解放や民主化など多くの譲歩を求めている模様である2

「ナンバー2」が見つからない政治構造

 一方キューバにとってアメリカは、積年にわたりキューバの体制転覆を図り、不当な経済制裁でキューバを苦しめている安全保障上の脅威と映る。

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