<span>「偏向した歴史教育と闘う」で30年 「つくる会系」運動は敗れたのか</span>

 衆参両院の首班指名投票を翌日に控えた2025年10月20日夜、「高市早苗総裁就任記念国民の集い」が東京・星陵会館で開かれた。呼びかけ人は高池(たかいけ)勝彦(新しい歴史教科書をつくる会会長)、櫻井よしこ(国家基本問題研究所理事長)、谷口智彦(日本会議会長)、加藤康子(産業遺産情報センター長)、西村真悟(元民社党衆院議員)、藤井聡(京大教授)、宮崎正弘(評論家)の7氏。主催者を代表して高池氏が開会の辞を述べた。

「高市さんが自民党総裁に就任し、女性初の総理大臣に就任目前であることに感慨を覚えます。しかし今は明日の総理大臣就任を控えた緊迫したときでもあります。安倍さん亡き後、混迷が続いていたわが国の政治が高市さんの総理就任で希望のもてる時代になってほしいと思っております」

 保守を標榜する運動団体が大量発生している令和のニッポンにあって、新しい歴史教科書をつくる会(以下、つくる会)は来年で設立30周年を迎える老舗である。機関誌『史』(ふみ)の26年1月号でも、高池氏らによる鼎談「『日本高市丸』いざ、出航の時!」を載せ、高市政権支持を表明した。意中の人が首相となったことに、会員たちのやる気が沸騰しているだろうことは想像に難くない。

 ただ、「本業」であるところの教科書について言えば、つくる会の自由社版(かつては扶桑社版)や、そこから分かれた育鵬社版の採択数が全国で大きく伸びているわけでもない。それでも、この両者をひっくるめた「つくる会系運動」の流れは日本社会で独特の存在感を示し続けている。例えば他社の歴史教科書の記述内容、教育基本法・文科省を頂点とする教育行政のみならず、永田町界隈の合従連衡にもインパクトを与えてきた。古くて新しくもある教科書をめぐるせめぎ合いは、戦後保守運動を流し見る上で少々ちがった景色の見え方を読者に提供できるはずだ。「現代保守の基礎知識」の4回目はそんな教科書正常化運動を取りあげようと思う。

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