西高から初の財務事務次官
宇波氏のキャリアに注目すると、財務省内でも順当に出世を重ねてきたことが窺える。
平成元年に大蔵省に入省し、最初の配属は国際金融局国際機構課。米マサチューセッツ工科大学(MIT)への留学、伊勢税務署長、旧厚生省への出向などを経て、キャリアの多くを財務省の本流、主計局で過ごしている。
岸田文雄政権時代には内閣総理大臣秘書官を務め、その後は大臣官房長、主計局長、そして今回の人事で財務事務次官へと昇格。これはいわば次官への王道ルートであり、一松旬主計局次長(現東京税関長)の思わぬ異動と引き換えに、財務省の“出世の秩序”が保たれたというわけだ。
学歴にも目を向けてみよう。
財務省という組織は東大出身者が大半を占めることは【激減する東大に代わって増えた大学は 出身大学・学部から見える財務官僚「学歴」の変遷】で述べた通りだが、出身高校にまで注目してみると、興味深い事実が浮かび上がってくる。
財務官僚全体でいえば、東大出身者の多さに比例して、麻布や武蔵、そして一松氏の母校でもある開成などの“私立勢”が多い一方、事務次官まで上り詰めた出世頭に注目すると、実は公立高校出身者の存在感が目立つ(関連記事【「出身高校」と「入省時の配属」から読み解く、歴代「財務事務次官」の条件】)。
こうした中、宇波氏は都立西高出身者として初の事務次官に就任したのだ。
日比谷や国立と並ぶ「東京都立御三家」として知られる西高とはどんな高校なのか。受験業界に詳しい教育ジャーナリストの西田浩史氏によれば、
「御三家の中での東大合格者数は日比谷が突出しているので、西はよく『日比谷に次ぐ2番手』といわれます。ただ、東大と京大が必ずしも“1位と2位”という見られ方をしないのと同じように、西も日比谷とは『全く別のトップ校』と見る方が実態には近い気がします。日比谷が、設定された目標に向かって着実に結果を出す『東大型』だとすれば、西は、自由な発想で創意工夫をして、既存のものに何かを付け加えていく『京大型』とたとえられるでしょうか。学力的に日比谷を十分狙える生徒であっても、性格や将来像などから、西の受験を薦める塾の先生も珍しくないですね」
財務省内の西vs日比谷
新潮QUEが独自入手した、明治以来の財務省全キャリア官僚の出身高校・大学が記された財務省の「裏名簿」(令和5年入省者まで記載)によれば、西高出身の財務官僚は、歴代で12人いる。宇波氏の代までの西高出身者11人をまとめた表が以下だ(省略した1人は令和5年入省)。