エナメルと聞いて何を思い浮かべますか。エナメル製の靴や鞄でしょうか。プラモデルでおなじみのエナメル塗料でしょうか。あるいは、電気工作に使われるエナメル線でしょうか。私は生物系研究者ですから、なんといっても、歯の表面のエナメル質。6月の『ネイチャー』誌に、歯のエナメル質について興味深い論文が発表されました。米ウィスコンシン大学のギルバート博士らの研究です。
エナメル質は全身で最も硬い組織です。食事のたびに食物を砕き、すりつぶし、ときに硬い種や砂粒にも触れます。それでも簡単には割れません。この丈夫さは、単に硬い物質を厚く塗った結果ではありません。エナメル質の内部には、目に見えないほど精巧な構造が隠されています。