<span>【全23社の回答を全文公開】中国産白菜「ホルムアルデヒド」問題に滲む「食の安全」へメーカーの“温度差”</span>
Mst.Rasma Khanum / shutterstock.com

中国が世界最大の輸出量を誇る「白菜」をめぐり、食の安全が脅かされている。中国北部の河北省・張家口市康保県の農場で発がん性が指摘される有害物質「ホルムアルデヒド」の使用が発覚したのだ。国民食であるキムチの原材料として、中国から大量に白菜を輸入する韓国は大混乱に陥ったが、この問題は隣国に負けず劣らず中国産野菜を輸入する日本にとっても、もちろん他人ごとでは済まない。そこで『週刊新潮』編集部は白菜が使われることの多いキムチや中華料理などを製造販売するメーカーに一斉取材を実施。気がかりなのは、誠意ある回答をしたメーカーもある一方で自社商品に「中国産」の白菜を使っているか否かさえ、回答を拒んだ企業があったことだ。本稿では全回答を公開する。

詳細に回答した「大象ジャパン」

 まずは、原産地表示で中国産の白菜を使っていることを公表しながら「取材拒否」や「無回答」としたメーカーとは対照的に、詳細な回答を寄せたメーカーからご紹介する。

 1社目は、キムチや冷凍肉マンドゥに中国産の白菜を使っていると表示している大象ジャパン。

〈弊社キムチに使用する白菜はすべて契約農家からの購入でありトレースが取れております。 ご安心して日本の皆さまにこれからも召し上がって頂ければ幸甚に存じます。〉

 としたうえで、下記のように返答があった。

【編集部の質問】
貴社の商品では、「多福ポギキムチ5㎏」の原産国が中国と公表されています。また「冷凍O’Food肉マンドウ(6個)」は原産国が国産、中国産と公表されています。「多福ポギキムチ5㎏」と「冷凍O’Food肉マンドウ(6個)」は中国産白菜を使用されているということでしょうか。また貴社の現在販売している商品で中国産白菜が使用されているものがございましたら、ご教示ください。

【回答】
→多福ポギキムチ
中国産白菜を使用。中国河北省張家口市張北県、内モンゴル自治区産などの白菜を使用している。
※中国河北省張家口市康保県の白菜は使用していない。

→冷凍O’Food肉マンドウ(6個) 
国産と中国産の白菜を併用している。 
中国産白菜使用 中国内モンゴル自治区産白菜を使用している。
※中国河北省張家口市康保県の白菜は使用していない。

→冷凍キムチ(中国産) 
8月度分の納入実績では中国内モンゴル自治区産白菜を使用している。
※中国河北省張家口市康保県の白菜は使用していない 。

【編集部の質問】
上記の中国産白菜を使用した商品に関しまして、ホルムアルデヒドで汚染された白菜が混入している可能性はございませんでしょうか。

【回答】
→多福ポギキムチ
原料原産地が異なる。

→マンドゥ使用白菜
中国産の白菜は山東省の原料供給業者の自社農場で栽培、加工している。
原料供給業者から「ホルムアルデヒド処理をしていません」と証明書を取得している。

→冷凍キムチ
原料原産地が異なる。

【編集部の質問】
上記に関しまして、もし「ない」とご回答される場合、どのようにホルムアルデヒドで汚染された白菜の混入の有無を確認したかご教示ください。もし「ある」とご回答される場合、具体的な商品名や経緯をご教示ください。

【回答】
→多福ポギキムチ
原料原産地が異なる。

→マンドゥ使用白菜
中国産の白菜は山東省の原料供給業者の自社農場で栽培、加工している。
原料供給業者から「ホルムアルデヒド処理をしていません」と証明書を取得している。

→冷凍キムチ
原料原産地が異なる。

「業務スーパー」を全国展開する「神戸物産」は独自調査の結果を説明

「業務スーパー」を全国展開し、自社で販売するキムチや冷凍餃子の原材料に、中国産白菜を使っている神戸物産も、自社独自の調査結果について、詳細に回答した。

【編集部の質問】
貴社では、「白菜キムチ 400g」「白菜キムチ 1kg」「冷凍白菜」「鉄板焼き棒餃子」を販売されておられます。これらの商品は原産国が中国と表記されていますが、商品の白菜は中国産でしょうか。白菜の産地をご教示ください。また、上記以外にも、貴社の現在販売している商品の中でもし中国産白菜が使用されているものがございましたら、ご教示ください。

【回答】
上記商品に使用している白菜は、中国産となります。

【編集部の質問】
上記でもし中国産白菜を使用した商品があった場合、ホルムアルデヒドで汚染された白菜が混入している可能性はございませんでしょうか。

【回答】
確認し、混入の可能性はございませんでした。

【編集部の質問】
上記に関しまして、もし「ない」とご回答される場合、どのようにホルムアルデヒドで汚染された白菜の混入の有無を確認したかご教示ください。もし「ある」とご回答される場合、具体的な商品名や経緯をご教示ください。

【回答】
弊社では原料ごとに調達先や管理状況を確認し、必要に応じて現地視察や指導を行っております。また、今回の問題を受け、現地工場に聞き取りを行い、報道された白菜の流通経路とは異なることを確認しております。加えて、指定農家からのみ調達しており、収穫後は工場へ直送、搬入後は速やかに冷蔵保管しております。そのため、ホルムアルデヒド処理は行っておりません。

【編集部の質問】
一部の中国産白菜がホルムアルデヒドで汚染されていたというニュースをどのように受けとめておられるでしょうか。

【回答】
従来通り、食の安全の確保、品質管理には注力してまいります。

【編集部の質問】
貴社では、安価な商品や業務用の商品を販売していることもあり、中国産白菜を使用した商品を複数販売しておられますが、 中国産白菜や中国産食品の安全性に関しまして、今後の対策をどのように考えておられるでしょうか。

【回答】
現在も商品の安全と品質確認のため、入港した全コンテナから商品をランダムに抜き取り、微生物・理化学検査や官能検査、残留農薬検査など様々な独自検査をしております。 今後も取引先と連携して情報収集と管理強化を続け、原料の調達・収穫・輸送・保管状況を確認し、必要に応じて現地視察や管理状況の確認を行ってまいります。

契約条件で化学物質の使用を禁止している「友盛貿易」

 同じく、会社独自の検査を実施していると説明したのが、水餃子に中国産白菜を使用している友盛貿易だ。

【回答】

(自社商品への中国産白菜について)
中国産白菜を使用しています。水餃子全般に使用しています。

(ホルムアルデヒドで汚染された白菜が混入している可能性について)
サプライヤーへの確認で、ホルムアルデヒドを含む鮮度保持剤を使用した浸漬、散布、その他の鮮度保持処理は一切行っていないとの回答を得ています。原料サプライヤーおよび供給業者への確認も行ってもらい、上記のような処理方法は実施していないことを確認しております。今回、報道で取り上げられている河北省の関連地域からの調達はしていないことを確認しております。

(どのようにホルムアルデヒドで汚染された白菜の混入の有無を確認したかについて)
サプライヤーで生産された商品について、日本国内でホルムアルデヒドの検出検査を実施。(8/27に検査機関へ郵送)検査機関へ検体が到着後2週間弱で結果が出る予定です。 契約農家から直接仕入れしており、使用を認めている農薬以外の化学物質は使用しません。保管も低温倉庫で管理している為、そもそも鮮度向上を求めてもおらず、長年の取引関係があり報道の様な鮮度をごまかす必要は全くありません。

国内の検査はあくまでもお客様へ安心いただける根拠を調査する為で、白菜以外の野菜類もホルムアルデビトを含め契約以外の化学物質を使用する事は契約条件で禁止しているので使用する事はありません。野菜類は全て契約農家もしくは工場の自社農場で生産・管理しており、使用農薬管理と収穫後の残留農薬検査で2重の管理を行っております。

(中国産食品を輸入・卸売する企業として、今回の報道を大変遺憾に受け止めているか) 
今回の事案は、過去に問題となった農薬残留等とは異なり、一部の業者が鮮度保持を目的として、本来食品に使用してはならない化学物質を白菜等に使用した事案であると認識しております。SNS上での告発をきっかけに問題が明らかとなり、中国国内においても大きな問題として報道され、関係当局による調査・対応が進められていると認識しております。弊社としては、特定の業者による中国国内の法律・規則を逸脱した行為であり、中国産食品全体の安全性を示すものではないと考えております。

(今後の対策について)
中国加工品の安全性に対して、再度信用性が揺らぐような大事件である事は事実ですが、弊社として安全性を信頼いただける様に情報開示と委託生産に係るリスクを理解した上で、日本の安全基準を満たす事を第一前提として引き続き工場に指導・管理を行い、定期的な監査を行い確認を行って参ります。

更に、中国現地での日本への輸出に対して、厳格な管理体制下での責任体制が求められると思います。同時に、現時点でも食品の輸入に対しての実施されている検疫体制とモニタリング検査への協力を引き続き実施していきます。

今後も透明性の高い情報開示に努めるとした「大山」

 業務用の白菜キムチを扱う大山も、汚染白菜が混入する可能性は「全くございません」と説明する。

【回答】

(白菜の産地および該当商品について)
弊社が輸入・販売する『大山業務用白菜キムチ』は弊社の取扱商品であり、主原料の白菜は中国産を使用しています。具体的な産地といたしましては、気候が涼しく品質が安定している「内モンゴル自治区」で収穫された白菜を使用しています。

(ホルムアルデヒドで汚染された白菜の混入可能性について)
結論から申し上げますと、汚染された白菜が混入する可能性は「全くございません」。

(混入がないと確認できる具体的な経緯・根拠)
その理由は、弊社の提携工場における「徹底した製造工程」にあります。問題となっているホルムアルデヒド等の薬品処理は、主に長距離輸送や市場販売向けに「あらかじめ外葉を剥いて見栄えを良くした(処理済みの)白菜」の鮮度を偽装するために行われると認識しています。

弊社の提携工場では、流通過程で汚染リスクのある該当の市場流通品(処理済み白菜)は一切仕入れていません。内モンゴル産地から「外葉がついたままの丸ごとの新鮮な白菜」のみを直接工場へ入荷しています。その後、厳格に衛生管理された工場内部にて、作業員が手作業で【外葉をすべて剥がして完全に廃棄】しています。

外部の部分は一切使用せず、最も清潔で安全な芯の部分(内葉)のみを使用してキムチを製造しているため、汚染物質が残留することは構造上全くありません。

また、輸入時には日本の厚生労働省登録検査機関にて成分検査を実施し、検疫所の食品衛生法基準をクリアした上で、税関の正式な輸入許可を得ています。

(ニュースに対する受け止め方)
食の安全を脅かす看過できない問題として、大変遺憾に受け止めています。 一部の流通業者の不適切な行為により消費者の皆様に不安を与え、また、弊社のように真摯に品質管理を行っている輸入元まで風評被害を受ける懸念があることは非常に残念に思っています。

(今後の対策について)
弊社といたしましては、現在実施している「外葉付きの丸ごと白菜を仕入れ、工場内での外葉完全廃棄」という根本的な安全工程を今後も徹底して遵守いたします。日本の検疫基準を遵守することは当然のこととして、現地の提携工場に対して定期的な安全確認と品質管理基準の厳格な適用を継続いたします。

問題となっているホルムアルデヒド成分の検出有無について、現在自主的な検査依頼を準備しています。消費者の皆様にこれからも安心してお召し上がりいただけるよう、透明性の高い情報開示に努めてまいります。

原料調達先および使用原料の調査を実施したと説明する「ニチレイフーズ」

【回答】

(白菜の産地について)
「中華丼の具」および「そのまま使える白菜」に中国産白菜を使用しています。なお、「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」に使用している白菜は中国産ではありません。

(上記以外で、現在販売中の商品に中国産白菜を使用しているものの有無について)
一部の商品に中国産白菜を使用しています。

(報道で取り上げられている事案との関連について)
報道されている中国河北省における白菜へのホルムアルデヒド使用事案を受け、当社で中国産の白菜を使用しているすべての商品について、改めて原料調達先および使用原料の調査を実施しました。その結果、当該事案との関連がないことを確認しております。

「業界全体の信頼を損なうものであり、大変遺憾」と話した「イズックス」

【編集部の質問】
貴社の商品では、「中国産手間なし自然解凍!白菜500g」などに中国白菜が使われていると公表されています。上記商品以外にも、貴社の現在販売している商品で中国産白菜が使用されているものがございましたら、ご教示ください。

【回答】
加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)の「冷凍白菜10kgバルク」の取り扱いがございます。

【編集部の質問】
中国産白菜を使用した商品に関しまして、ホルムアルデヒドで汚染された白菜が混入している可能性はございませんでしょうか。

【回答】
ございません。

【編集部の質問】
どのようにホルムアルデヒドで汚染された白菜の混入の有無を確認したかご教示ください。

【回答】
原料収穫時には製造工場の基地部担当者立ち合いのもと作業が行われ、原料は基地(=畑)から直接トラックに載せられ工場に搬入することを確認しています。生産は収穫から24時間以内に行うことにしているため、費用と手間をかけてホルムアルデヒドを使用する必要もありません。なお、弊社の冷凍白菜に使用している原料は、製造工場により肥培管理された近隣基地で栽培収穫されたものです。

【編集部の質問】
一部の中国産白菜がホルムアルデヒドで汚染されていたというニュースをどのように受けとめておられるでしょうか。

【回答】
一部事業者による不適切な行為は、生産者や流通業者を含む業界全体の信頼を損なうものであり、大変遺憾に感じております。弊社としては、安全・安心な商品の提供を最優先に考えております。

【編集部の質問】
中国産白菜や中国産食品の安全性に関しまして、今後の対策をどのように考えておられますでしょうか。

【回答】
弊社では、2002年の残留農薬問題発生以降、日本の法令に適合した安全な製品を仕入れるため、製造工場への指導をはじめ、継続的な意見交換・情報交換を行ってまいりました。原料についてもトレーサビリティが確保されたものを使用するよう管理をしてまいりました。今後も従来通りの管理を継続実施することが重要と考えます。

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