ジャーナリズムの危機が叫ばれて久しいが、原因はどこにあるのか。米メディア界の精鋭たちが真剣な議論を重ね、いつの時代も変わらないジャーナリズムの「10の原則」を導き出し、今後のジャーナリズムとメディアのあるべき姿を提示したのが『ジャーナリストの条件 時代を超える10の原則』(ビル・コバッチ、トム・ローゼンスティール著/澤康臣訳)だ。ジャーナリズムを学ぶための基本書として世界中で読まれ、何度も改版して内容を磨き上げている。今回翻訳された最新第四版では、インターネットやSNSの普及によるメディア環境の劇的な変化も捉え、日本のメディアにとっても示唆に富む。毎日新聞社からBuzzFeed Japanを経て、今はフリーとして活躍し、『ニュースの未来』の著作もある石戸諭氏が、本書の読みどころを解説する。
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フリーランスとして独立したばかりの頃である。誘われるがまま東京大学で非常勤講師の仕事を2年ほど引き受けることになった。「年の後半、ジャーナリズムをテーマに100分の講義を週1回担当してほしい。細かいテーマ設定は任せるが、例年マスメディアの実務経験者が担当しているので現場の話をぜひ盛り込んでほしい」――そんな依頼だった。
講義のために資料を読んでいて驚いたことがある。……