政治

保守派の国際的「知の拠点」を目指すハンガリー

2024年12月25日

オルバーン政権は近年、保守系国際会議の開催や他国シンクタンクとの協力、米国大統領選挙におけるトランプ陣営との関係構築を通じて積極的な保守外交を展開してきた。大国と比較して限定的な自国の軍事力や経済力を補完し、思想的な支持基盤を国外に拡大しようとする試みだ。特に米国保守派との連携強化は、ハンガリーの統治スタイルに対する米国政府からの批判を、トランプ再選によって回避するという成果を生みつつある。

「オルバーン首相は偉大な指導者であり、素晴らしい指導者だ」1――11月5日の米大統領選で再選が決まったドナルド・トランプ次期大統領が、2024年3月にハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相と会談した際に述べたこの発言は、その後の選挙戦でも繰り返し言及され、トランプ氏にとってオルバーン首相が大きな存在感を持つことが示された2

 2020年の選挙戦ではほとんど取り上げられなかったオルバーン首相が、なぜ2024年にここまで頻繁に言及される存在となったのか。その背景には、オルバーン政権が国際的な保守派との関係強化に積極的に取り組んできた経緯がある。

 11月の米国大統領選挙に際して、欧米の大手メディアでは、オルバーン政権とトランプ陣営、さらには米国保守派との関係に関する分析や報道が相次いだ。これらの報道や発言を整理すると、オルバーン政権は伝統的な家族の価値観を訴えるキリスト教主義や、グローバリゼーションや地域統合に対抗し自国の主権と利益を優先する主権主義といった保守的理念を掲げ、国際的な影響力を拡大しようとしていることがうかがえる。本稿では、国際会議の主催やシンクタンクとの連携、そして選挙戦略を通じて、ハンガリーがどのように保守外交を展開してきたかを整理する。

  • 「オルバン・ハンガリー」と共鳴する米「親トランプ保守」
  • 「マジャル現象」は保守をもって保守を制するか:オルバーン政権のスキャンダルと保守新党台頭の行方

ハンガリー主催の保守系国際会議

 ハンガリー保守派が米国へのアプローチを本格化させたのは比較的最近のことである。以前は在米のハンガリー系団体やロビイストを通じて支援を得ていたが、2019年5月にオルバーン首相とトランプ大統領が首脳会談を行ってから、オルバーン政権およびハンガリー保守派は米国の保守派層へのアプローチを積極的に進めるようになった3。……

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