与党フィデス政権のスキャンダルを契機に、マジャル・ペーテル党首が率いるハンガリー保守系新興野党「ティサ(TISZA、Tisztelet és Szabadság=尊重と自由)」の勢いが止まらない。昨年11月に実施された独立系世論調査機関Mediánの世論調査によれば、オルバーン・ヴィクトル首相率いる与党フィデスの支持率は36%にとどまり、一方でティサ党の支持率は47%に達した1。欧州議会選挙後の昨年7月の支持率がそれぞれ43%と31%であったことを踏まえると、その躍進は顕著なものとなっている。また、政府系メディアを含むすべての世論調査の平均においても今年1月にティサ党がフィデスを上回っている2。ティサ党が選挙後もハンガリー国民の支持を維持し続けている理由は何か。また、2026年に議会選挙を控えた現在、ティサ党が直面する課題は何であろうか。
フィデスのかつての地方戦略を模倣する
ティサ党が選挙後も支持を維持している大きな理由の一つは、マジャル党首が地方都市や農村を巻き込んで相次いで展開する政治キャンペーンであろう。欧州議会選挙の投票日前日の6月8日、マジャルは「キャンペーンの前半部分が終了した」と述べ、選挙期間中に行っていた全国ツアーを選挙後にも実施することを表明し、秋から実行に移している。
さらに、マジャルは単に同じキャンペーンを繰り返すのではなく、時にオルバーン首相がかつて用いた手法を模倣し、また時には与党が使っていない手段を取り入れることで、次々と新たな活動を展開している。欧州議会選挙が終わり、ハンガリー国内が選挙モードから選挙の空白期間へと移行する中、マジャルはオルバーン政権のスキャンダルや外交政策への批判だけでは支持を維持できないと判断したのだろう。
例えば、地方でのコミュニティ構築の取り組みとして、7月下旬にマジャルは自身のFacebookで「ティサ・アイランド(TISZA Sziget)」と名付けた3、地方のティサ党支持者による緩やかなコミュニティの創設を呼びかけた。「ティサ・アイランド」は党組織の一部ではないとされており、この動きは2002年の議会選挙で敗北した際、オルバーン党首がフィデス支持者に呼びかけた「市民サークル(polgári körök)」を彷彿とさせる。……