- 保守新党が塗り替えたハンガリーの政治地図(上):マジャル・ペーテルに集まる支持の理由を紐解く
本稿の前半(上)では、ティサ党が欧州議会選挙後もハンガリー国民の支持を維持し続けている理由について、地方戦略、政治キャンペーン、SNS戦略の観点から分析を行った。ティサ党が引き続き支持を集めていることは確かであるが、その支持はどのくらい盤石なのか。具体的にどのような層から支持を得ているのか。また、ティサ党はどのような政策を掲げており、それはオルバーン首相率いるフィデスとどう異なるのか。後半となる本稿(下)では、ティサ党の支持の特徴とその政策、ティサ党が直面する課題といった点についての議論を深める。
ティサ党への支持とその特徴:「若者の党」はフィデスからティサへ
ハンガリーの世論調査は、リベラル系から保守系まで多様な調査会社が存在し、調査機関によって結果に大きな差が生じることも少なくない。そこで、比較的中立的で信頼度が高いとされる独立系世論調査機関Mediánの調査結果を参照する。これまで議席を獲得していた政党のほとんどが議席獲得最低ラインの5%条項を満たしていない点も興味深いが、それと同時に与党フィデスの支持率低下とティサの支持率の急増という傾向が鮮明に表れている(図1)。
ティサ党の支持拡大は依然として持続的に伸びている一方で、フィデスの支持は低下し続けている。オルバーン政権のラーザール・ヤーノシュ建設運輸大臣が2024年12月に「奇跡をもたらしたのはマジャル・ペーテルではない。我々(フィデス)が誤ったのだ」と述べたように、ティサ党の支持拡大の背景にはフィデスへの信頼の揺らぎがある19。大統領の辞任に発展した児童性的虐待関連の恩赦をめぐるスキャンダルや、近年のインフレ対応への不満に対し、フィデスは約1年が経過した現在もこうした懸念を払拭できていない。そのような状況の中で、マジャルは本稿の前半で述べた戦略を駆使し、2022年総選挙で野党統一候補の敗北に失望した有権者層をも取り込みつつある。……